HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「便所の中で」

たまたまある会合で本書の著者の古賀さんにお会いした。ある事情で数時間隣り合わせでいなければならなかったのだが、話が大変盛り上がり楽しかった。

間髪をおかずに送ったいただいたのが「便所の中で」。今のTOTOにお勤めだったことは知っていたし、本を送っていただけることもお約束していたので、分かってはいた。しかし、まさか帯に「スカトロジー」と書いてある本だとはこれっぽっちも思っていなかった。

便所の中で

便所の中で

しかし、ベージを開いてみれば、なぜお妾さんは寝しょんべんをするかから、小便公方とは誰か、はたまた蒋介石のトイレの愛国心まで、古今東西、今昔男女を問わず、御叱呼、雲古のオンパレード。しかも、それが落語を聞いているような切れのいい文章で書いてある。

いつしか読み進むうちに、「微笑・こう笑・爆笑」と雲古と御叱呼の果てに、人間としてのリアルさが浮かび上がってくる。誰も、雲古と御叱呼の話しをするときに、格好などへつけていられない。いろいろなものが塗り隠されてしまった21世紀のいまには感じられない生命力とリアルさが本書にはある。

実は本書の大半を電車の中で読んだ。電車の中で、隣のおじさんも、目の前でつり革につかまっているお姉さんも、雲古、御叱呼、便器に関わらざるを得ないと、読み進めながら「発見」するのは奇妙な感覚であった。それこそ、スカトロジーの妙ではないか。