HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「蒼い時」

いつだったかTwitter山口百恵の話しになった。なぜ山口百恵があんなに大人なのかという疑問だった。gayanjalie先輩から「蒼い時」を読んでみたらと言われた。

蒼い時 文庫編集部 (集英社文庫 126-A)

蒼い時 文庫編集部 (集英社文庫 126-A)

1959年1月17日生まれ。私と8学年違い。こんなに年が近かったのだという事実にびっくり。引退した21才なんて、私は子どももいいとこだった。この8つの差が、どうしてこんなにこの人をして成熟させていたのか、その疑問は読後のいまも解けない。

「蒼い時」にも書いてあるし、Wikipediaにも記述があるが、「百恵プロジェクト・チーム」を自分で編成したのだという。十代のうちに、しかも殺人的に忙しい中で、自分の個性を発揮するために主導権を発揮したことがすばらしい。様々との人々との交際の仕方もホリプロの社長や、宇崎竜童・阿木燿子夫妻をめぐるエピソードを含めて、深みを感じる。

まして、三浦友和への想いをつづった部分は、私が直接存じ上げる中でこれだけ成熟した愛し方のできる方はいようか?山口百恵が「結婚したら仕事を辞める」と三浦友和に告白し、三浦友和も「男として」これを受け入れる話しには感動した。

youtubeを見ながら、この記事をなんとかまとめてしまいたいと思っているが、まだわからない。

「蒼い時」の中で、夢やUFOの話しをしていた。予知あるいはデジャヴュの話しをしていた。自分には、直感的に未来のことがわかることがあると。そして、直感によって未来を決めることもあると。ベッドに座っている自分を空中から見下ろすというほとんど幽体離脱体験についても書いている。なんかこの辺がポイントのような気もするがわからない。

うーん。

いま聞くと「蒼い時」を書いてからこの引退の時へつながるのだと思うと感慨無量。


■追記 次の朝

「蒼い時」を読んでも山口百恵がなぜ山口百恵であったかはわからなかったが、なぜ山口百恵が引退前に「蒼い時」を書かねばならなかったかはわかる。マスコミへの最後通達なのだ。書くべきこと、答えるべき問いにはすべて答えるからこれ以上詮索しないでくれと。

「蒼い時」のひとつのピークはマスゴミが根も葉もない記事を載せたことへの損害賠償訴訟への証人としての出頭だった。ちなみに、宣誓供述書をすでに提出していたので、証人として裁判の場にでる必要は本来なかったはずだ。それを熟知していた山口百恵は、引っ張りだされたことへの、マスゴミのさらなるエゴに辟易していたはずだ。

三浦友和への愛も正直私は本書を読むまでマスコミに作られた虚栄によって育てられたものだと信じていた。本書を読んでその愛が確かなものであり、成熟した大人の落ち着きをもった愛なのだと知った。24でなにも考えずに結婚してしまった私とは比べものにならないくらい成熟していることを山口百恵の言葉のひとつひとつに感じた。

引退する前に本書を書き上げれば、「青い」少女としてもてはやされた「時」にピリオドを打てる、いや、打つ決意でいらしたのだろう。ひとつの時にピリオドを打つ決断は自分にしかできない。そして、ピリオドを打つために30年経っても読む価値が感じられる本書を書き上げたのは、すばらしいとしていいようがない。