先日から学んでいる複層的な古事記の比較神話学的知見が三浦佑之さんの「古事記」でつながるものを感じた。

- 作者: 三浦佑之
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2014/08/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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古事記は、天皇の正統性を示すための歴史書ではないという立場を取られている。これは、日本書紀との比較において明らかだと。
先日疑問に思った南方系と北方系の神話の比較で言えば、スサノオ=オオクニヌシ系列の南方系と考えられる神話群が日本書紀にはないということになる。腑に落ちるものを感じる。
日本の神話の三種の神器 - HPO機密日誌
本書において、海幸山幸の神話など、南方系の神話群も地図でまとめられている。また、出雲神話の各地での伝承から日本海において海の道を通じた文化圏があったとされている。いずれも、海上文化の交流があったことを示唆している。
そして、アマテラス、スサノオ、オオクニヌシが象徴する祭祀、戦闘、生産という三者による社会構造は、古事記において正統と異端という軸に収斂し、物語のドラマツルギーとも言うべき骨格となっていると。
日本の神話の三種の神器 - HPO機密日誌
まさにこれは古事記神話の構造論だと私は思う。そして、この正統と異端を示し、異端側への共感を示すことで鎮魂の機能を古事記は追っていると三浦さんは書いていらっしゃる。大変に興味深い。