昔々その昔、田中邦衛さんの話を聞くことがあった。たしかこういうことをおっしゃっていた。
芝居ってのは、昔から川原者と呼ばれる、社会の往来から外れたやつらがやってきた。社会の現実の中では、あまり意識されない、語られないものごとって結構ある。そんな落穂のようなものごとをひろってきて、『ね、こういう悲しみもあるだろ、こういう矛盾もあるだろう』と見せることが、川原者たちの芝居なんだ。
考えてみれば、ブログも天下のメインストリームにならなくたっていいんじゃないかな。リアルの世界では、なかなか見えてこない人生の悲しみだの、社会の矛盾だのを、名前もしられないような人々が、こそっと書く。マスコミだの、メディアだのを通さずに、川原者の子孫である私たちが直接書いて、表現すること。それが、ブログなんじゃないかと改めて思った。
あまりに多くの人や企業がブログを始めた現在、ブログってなんだろうかと問い直すことが必要なのかもしれない。