HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

重職心得とハイエク

くらべちゃいけないと思いながら、通底するものを感じるのは私だけだろうか?

佐藤一斎『重職心得箇条』を読む

佐藤一斎『重職心得箇条』を読む

第三条 家々には祖先から引き継いで来た伝統的な基本精神(祖法)があるが、これは決して失ってはならない。また、しきたり(仕来)、しくせ(仕癖)という習慣があるが、これは時に従って変えるべきである。とかく目の付け所を間違って、祖先伝来の家法を古くさいと考えて除けものにし、しきたり・しくせを家の法則と思って一生懸命守っている場合が多い。時世に連れて動かすべきものを動かさなければ大勢は立たない。(時勢に遅れてしまって役に立たない)

あまりになんども言われていることだと思うのだが、私が伝統的な読書の法だと教わったのは、直観にたどりつくまで書を腹に入れよということだ。それが全く正しいというところまで書を何度も読み、ただただ意味が向こうから来るのを忍耐強く待つしかない。それは、哲学の伝統にのっとって論理を積み重ねる学問とは根本的に構造体は異なるが、到達する原理原則というものは同じではないだろうか?

ハイエク―自由のラディカリズムと現代

ハイエク―自由のラディカリズムと現代

先日、ある経営者の方とお話をさせていただいた。私とはそのよって立つべき理論的な根拠、あるいは立場が全く異なる出発点の方だった。年代も相当に違う。しかし、驚くほど経営の一点において同じ意見、同じにおいを感じた。

重職心得はまだ続くのだが、その一条、一条が、現代には忘れられがちな真実を伝えている。特に、家風あるいは憲法ともいうべき法の在り方の本質に触れていると感じた。

佐藤一斎のすばらしさをあらためて感じる。

人間学言志録

人間学言志録