某市民奉仕団体の歌と理念を、「市場の倫理、統治の倫理」として分析してみた。圧倒的に、市場倫理に忠実な団体なのだと改めて理解した。
近代社会で成立した団体であるだけに、国の伝統に対して忠実たれという徳目は避けて通れない。この「忠実さ」は、市民と国との間で共有されなければ市民社会は成立しえない。そして、ベンチャー企業と言うよりも既に功成り名を遂げた会員が多いため、「異説」を唱えるよりも、「伝統尊重」という保守に向かう。
しかし、見事なまでに統治の倫理を含んでいない。政治的な意図を持たないという創設者たちの意思をあらためて感じた。商人は政治に口を出すべきではないし、政治家になろうとしてもうまくいくわけがない。根本的に身についた徳目の上からもそれは明らかだ。身についた徳目は、市場の倫理の項目から統治の倫理の徳目へと簡単にスイッチできるものではない。
そこで、安冨先生の立場論となり、ジェイコブズのカースト社会の検討に向かうことになる。
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こうしてみると改めて「市民」なのか、「国民」なのかは大きな問題であると気づく。