読了。
- 作者: 大和和紀
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2001/07/31
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「あさきゆめみし」の六巻はちょうど舞台の始まる直前までを語ってくれた。母親への思慕、父親への思慕を、「おもかげ」として生きる。薫の宮と匂いの宮の生き方も実に日本人だなぁと実感する。日本版のカサノバとドンファンといったところか。*1改めて、源氏物語とは歌物語であるとも実感する。よくもまぁここまで物語にあった歌が作れたものだ。
今朝の間に色にや賞でむ置く露の
消えぬにかかる花と見る見る
この歌があって、このやりとり。
よそへてぞ見るべかりけるしら露の
契りかおきし朝顔の花
返歌。
消えぬ間に枯れぬる花のはかなさに
おくるる露はなほぞまされる
考えてみれば、ある意味王朝時代のミュージカルであったといえるのかもしれない。その意味で、「タカラヅカ」で演じられることは似つかわしい。また、男性の中の女性、女性の中の男性という不可思議なものが源氏物語全体にただよっている感じがする。そのせいか、不思議なことに、今回ひとつも女性が男性を演じる不自然さが感じられなかった。
いままで、私にとって「夢の浮橋」といえば倉橋由美子であった。
- 作者: 倉橋由美子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 1973/10/10
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なんとかったらよいのか、倉橋由美子は実に大人であった。情にひとつもながされもせず、源氏物語の最終巻をさらりと作品にしてしまう。タイトルこそ受け継ぎながらも、桂子さんの行動には、源氏物語のような「おもかげ」に迷う男女の陰影はない。
源氏物語に日本を感じるようになったのは、年をとったからなのか。それとも、理性への信仰がゆらいでしまったからなのか。いまは「情理円満」とはどのような形なのか、ふと考えてみたくなる。