HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

子供達は未来

永江一石さんのツイートに「子供たちは未来」とコメントした。コメントの後に、谷本真由美さんの「世界のニュースを日本人は何も知らない」を読んでいて幼児教育の大切さについての一文が目に飛び込んできた。

ヘックマン教授の書書『幼児教育の経済学』(東洋経済新報社)では、五歳までの教育は学力だけでなく健康にも影響すること、六歳時点の親の所得で学力に差がつくことなど、四〇年以上にわたる追跡をもとにした調査結果や、親とのふれあい不足により子どもの脳が萎縮してしまうという衝撃的な研究結果が掲載されています。

もう少し詳しい内容がこちらに掲載されていた。

50年近く前に行われたペリー就学前プログラムは、デトロイト市郊外で恵まれない環境に置かれている3~4歳の黒人の子どもたちに対して、2年間にわたり、1日2時間、認知力と社会的感情能力の刺激が与えられた。この子どもたちは、対照群の子どもたちと同じ学校に入れられ、40歳まで追跡調査を行った。実験群の子どもたちのIQは最初急上昇したが、10歳までにその効果は薄れていった。
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図:認知力の変化(男子)
このため、このプログラムを介入の失敗例だと考えた人が多かった。しかし、ペリー就学前プログラムは1年あたり7~10%という統計的に有意な収益率を示した。これは主として、社会的行動を促進し、非認知的なチャンネルを通して生じた。雇用、月収、喫煙習慣、犯罪などを調べると、ペリー就学前プログラムに参加した子どもたちの成功には非認知力が大きな役割を果たしていることがわかった。また、介入によって、実験群では食生活、運動、喫煙習慣、その他の局面でも改善がみられ、健康に対しても長期的にポジティブな影響を与えていた。

RIETI - ノーベル賞経済学者ジェームズ・ヘックマン教授「能力の創造」 (議事概要)

発達心理学の心得のある方なら、この5歳から6歳という年齢がどれだけ大事なのかおわかりいただけるだろう。子供たちにとっては5歳かの1年が人生にとって決定的に大事なのだ。取り返しがつかない。情緒的な発達、基本的な共感力などはこの時点で身につかなければ一生身につかないか、非常な努力と苦労の末に何年もかかってやっと獲得できる「能力」なのだ。

Netflixで「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」を見た。ここに出てくるヴァイオレットのように「愛しています」と手紙に書くためだけにどれほどの遠回りをしなければならなかったか。昨日書いたように私も若干「自動人形」じみた育ち方をしたところがあるので、よくわかる。

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https://www.netflix.com/watch/80182123?trackId=13752289

だから、例え世界がパンデミックになろうと、経済危機に陥ろうと、子供達は未来そのものなのだからその成長をさまたげることあってはならない。子供達に、愛をそそぐことに不足があってはならない。子供達が犠牲になってはならない。リアルな私を知っている方はどの口がそんなことを言うと避難するかもしれないが、人生の過半をとうに過ぎた私にはそう思えてならない。