たまたま、移動時間が長かったので駅チカの本屋に入った。そこで、見つけたのが本書。以前、ハードカバーで「動的平衡」は拝読した記憶がある。新書だと持ち運び安い程度の動機だった。しかし、本当に読み終わるまで本書を一旦置くことができないほど面白かった。
新版 動的平衡: 生命は自由になれるのか (2) (小学館新書)
- 作者:伸一, 福岡
- 発売日: 2018/10/03
- メディア: 新書
冒頭の美術における時間と生命感の話から多様性、大腸菌の遺伝子交換などなど、まさに「動的平衡」、どこまでが生物でどこからが外部なのかというテーマに沿った話題が盛り込まれていた。多様な話であるのに、短編連作推理小説を読むように次から次へとページをめくりたくて仕方がない読書体験であった。
私が下手な要約を試みるより、本書をとにかく読むほうがはるかに明晰なので内容についてはあまり触れない。触れられないという方が正解かもしれない。ただ、2点だけ。
以前、進化論とマルクスについてツイッターで議論した。私の印象では左派、リベラルな方々はマルクスと進化論は無関係だとご主張されている印象を持った。進化論を社会科学の考え方の基本と主張するだけで非難轟々だった。
本書の一部を引用する。影響を受けていないわけがないと。
まもなく(ダーウィンと)同じロンドンで、カール・マルクスは「資本論」を書き上げた。彼は自筆でサインを入れ、ダーウィンに献本した。それに対してダーウィンは短い礼状を送っている。1883年3月に執り行われたマルクスの質素な葬儀で、マルクスの盟友フリードリヒ・エンゲルスはこう弔事を述べた。
「自然界ではダーウィンが生物進化の法則を発見したように、マルクスは人類史における進化の法則を発見した」
ダーウィンはその前年にこの世を去っていた。
もうひとつは西田哲学に影響を受けた生命と時間。もう驚愕でしかない。
「動的平衡2」、読了。まさに置く能わざる本でした。最後に述べられてる西田哲学の読み解きは道元さんの有時そのものでは?そして、それこそが生命の本質ではないだろうか?
— ひでき (@hidekih) 2020年7月28日