確か中学生の頃、フロイドの精神分析をほんのさわりだけ読んだ。引き出しの中の手紙を1ヶ月にわたって出し忘れ続けた自分の体験を深層意識の働きの例として書いていた。それ以来なんとはなしに、自分の深層心理にひっかかりがあるものごとが自分の表層の行動を支配していると思い込んだ。
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それ以来なんとはなしに自分がちょっとしたことでも忘れ物をすると、その物事に自分が深層心理的に「ひっかかり」を持っているのではないかと思いこんできた。爾来、自分が手紙を出すことが苦手なのは、出す相手に対して重い物があるからだと。その「重い」問題を解決しないと手紙はかけないと思いこんでいた。しかし、実際にはメールの時代になれば、逆に自分が出しすぎる、書きすぎるくらい相手に対してすぐに連絡している。深層心理的な「重さ」などはない。
年をとってそれなりの地位につけば、自分の苦手なことは周りに任すなり、お願いするなりして、自分の得意なことにこそ集中すればよいのだと気づく。なんとはなしに五十を迎えて、フロイトの呪いから脱出できたのではないかと思える。なんでも、生きてみるべき、やってみるべき。人生思ったよりも、軽いかも。