あるところで、あらためて夏目漱石の「草枕」の冒頭の言葉が出てきた。改めて夏目漱石がすごいと実感させられた。
山路を登りながら、こう考えた。
夏目漱石 草枕
智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通とおせば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。
住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟とった時、詩が生れて、画が出来る。
有名な冒頭の一文だが、何を意味しているかわかったようなわからないような理解でいた。改めて読んでみると、智と情と意地とは、まさに知情意のことなのだろう。Integrityというやつだ。
漱石は、最初の一文で「本来人間とは知情意の統合、真摯さをもって人生を生きるべきであるが、なかなか実際の人の生において実現は難しい。知情意の統合、真摯さとは、芸術という理想において描かれる」と言っているように私には思える。実際、この小説は詩や、書画、はてはすずりの斑まで、美しさとはなにか、芸術とはなにかを論じている。
まあ、すごいなと。