大変、興味深い問題提起であった。
人口減少時代の土地問題 - 「所有者不明化」と相続、空き家、制度のゆくえ (中公新書)
- 作者: 吉原祥子
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2017/07/19
- メディア: 新書
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所有者不明不動産の問題は、固定資産税の徴税率が98%と高いので、土地に関する各種台帳の整備、統合をすれば済むものだと安易に考えていた。
実は、ここに大きな落とし穴があったようだ。
P.53
「所有者不明化」は、震災復興や空き家対策などだけでなく、実は、全国の基礎自治体の固定資産税実務にも影響していることが明らかになった。具体的には、相続未登記のため不動産登記簿上の土地所有者が死亡者名義のままとなっているものについて、本来は無効であるものの、やむをえず登記簿名義人(死亡者)への課税(死亡者課税)を続けたり、課税自体をいったん保留している(課税保留)といった実態である。
人口約7万人のある市では、固定資産税の納税義務者3万9979人(2012年度)占める死亡者課税の比率は11%(4581人)、人口1万4000人の別の町では、2012年度の農林地の納税義務者のべ9947人のうち6%(612人)が死亡者課税だった。
行政の怠慢と言いたいところであるが、所有者不明土地の子孫までたどる作業がどれだけ大変でどれだけ費用がかかるか知っているので、たかだか数万、数千円の固定資産税を徴収するためにすべてを調査しきれないことは理解はできる。結果、大げさに言えば、「日本人の土地相続は根本から崩れ始めている」といってもおおげさでない状態になっている。
#人口減少時代の土地問題 片っ端から固定資産税未納土地に抵当権つけて入札、清算してしまえばいいと思っていたが、土地の価格の下落で方もいかないらしい。 / “日本人の土地相続は根本から崩れ始めている | 政策 | 東洋経済オンライ…” https://t.co/sYs05hb7oO
— ひでき (@hidekih) 2017年9月13日
法定相続情報証明制度など、対策は少しずつ取られているようだがまだ実効性にはかける。
#人口減少時代の土地問題 相続登記を対抗要件でなく、権利移転の成立要件にすると、踏み込むべきだった。この制度はあまりに中途半端か。 / “法務省:「法定相続情報証明制度」が始まります!” https://t.co/xS1W5Rbnm2
— ひでき (@hidekih) 2017年9月13日
せめて都市設備や、市街地内だけでもきちんと固定資産税台帳を整備し、今後の開発、再開発に支障がないように制度整備が急がれなければならないだろう。人口減少は複合的な問題である。
ちなみに、日本の歴史からいうと所有者不明地が増えることは治安問題に直結しているというコメントもあった。
日本人の土地相続は根本から崩れ始めている | 政策 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準b.hatena.ne.jp
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貴族が放ったらかしてた土地を勝手に占有し(「悔い返し」という)、それを武装して守ったのが武士。土地については、意志なきところに権利なし、の原則が現代の民法でも貫かれている。それが逆に足かせに。
2017/07/31 21:33