HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「行動学入門」を読み始める

三島由紀夫にはまっている。「豊穣の海」シリーズで足を洗ったはずなのに。

行動学入門 (文春文庫)

行動学入門 (文春文庫)

三島作品を何冊読んだか記憶が不分明だ。「金閣寺」は確かに読んだ。それから、大学の卒業旅行でイスラエルに旅したときには遠藤周作の作品と「暁の寺」を持っていった。ちょうど旅先で会った日本人の女子大生が「豊穣の海」で卒論を書くと言っていた偶然を記憶している。その程度しか読み込めていなかった。長谷川三千子氏の見解にあまりにひきづられるのもまた問題なのだが、三島にとっての「終戦」の意味、天皇陛下の意味を考えると、彼の作品が全く違ったものに感じられる。

三島が核をめぐる発言をしているのにも驚いた。死にゆく時の「檄文」にも自衛隊が国体を守るべき軍たれという想いと、核についてふれている。

 この上、政治家のうれしがらせに乗り、より深い自己欺瞞と自己冒涜の道を歩もうとする自衛隊は魂が腐ったのか。武士の魂はどこへ行ったのだ。魂の死んだ巨大な武器庫になって、どこかへ行こうとするのか。繊維交渉に当っては自民党売国奴呼ばはりした繊維業者もあったのに、国家百年の大計にかかわる核停条約は、あたかもかつての五・五・三の不平等条約の再現であることが明らかであるにもかかわらず、抗議して腹を切るジエネラル一人、自衛隊からは出なかった

檄文(全)

生前のインタビューでも、「自衛隊の一部を国連軍とすることで、逆に核を持つ」ことを述べている。


1969年、カナダのテレビ局による、三島由紀夫の貴重なインタビュー - YouTube

俄然、行動者としての三島由紀夫に興味を持ち始めた。三島を鍵に逆に戦後の日本のありようが見えてくるように想う。