いい映画だった。宮崎駿の映画の中で、男女のキスシーンを見ようとはこれっぽっちも想っていなかった。二郎と菜穂子の二人の情愛の深さに打たれた。というか、70過ぎて臆面もなく男女の愛を描ける宮崎監督の純真さに感動した。
地味な映画だ。シーンから言えば、この4分間の予告編でほとんど網羅されているといっていい。だが、観ている内にじわじわと二郎の想い、菜穂子の愛が伝わってくる。菜穂子との愛の軌跡はどちらかというと堀辰雄の小説から来ているらしい。ちなみに、庵野さんの二郎さんよかったよ。素のままの庵野さんが二郎さんと重なるんだろうな。
- 作者: 堀辰雄
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ただ、前振りだと主役の堀越二郎は零戦の設計者だと。しかし、出てきた飛行機がどうにも零戦に見えなかった。パンフレットまで買ってチェックしたら「九試単座戦闘機」。後の九六式艦戦なのだと。
設計主務者である堀越らは、試作にあたっては失敗に終わった七試艦上戦闘機の反省も踏まえて技術革新を促すため、要求は速度や上昇力など戦闘機に不可欠なもののみに重点を絞り、山本五十六海軍少将(当時、航空本部部長)の指示でその他の条件は極力緩和するという方針が示され、本機は艦上戦闘機としての性能要求もされなかった(故に試作名称は「単座」戦闘機であり、「艦上」戦闘機ではない)。
九六式艦上戦闘機 - Wikipedia
名将と言われる人は、人の才能を見抜くのだろうか。よいクライアントに恵まれることほど、ものづくりをする技術者の幸せはない。
九試単座戦闘機の画像を探したのだが、映画の中で描かれたほどの優美さが見いだせない。同じく二郎が設計した零戦とは違った優美さであった。
映画を見ると、元々の宮崎監督の描いた九試単戦を見たくなる。模型雑誌に連載されたという漫画版の原作を読みたくなる。連載されたという雑誌のバックナンバー1年分を買うか悩み中。
模型の花道のブログ スタジオジブリ最新作「風立ちぬ」の九試単座戦闘機と鳥型飛行機の模型が7月発売予定
やばい、連載の「モデルグラフィックス」の関連ページを見つけてしまった・・・。
このままだとみんな絶版になりそうだなと心配しているうちに、ついつい手が動いてしまった。うーん。
ちなみに、史実の堀越二郎は戦後YS−11という名旅客機を作っている。すごい人はすごい。
戦前には七試艦上戦闘機、九試単座戦闘機(後の九六式艦上戦闘機)、戦時中は零式艦上戦闘機を含め、雷電、烈風と数は少ないものの、後世に語り伝えられる名機の設計を手掛けた。九試単座戦闘機では逆ガル翼を採用するなど革新的な設計を行い、のちの九六式艦上戦闘機の開発につながった。戦後は木村秀政らとともにYS-11の設計に参加した。
堀越二郎 - Wikipedia