HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

見えない税金

消費税アップのどさくさにまぎれて、一定規模以上の売上げの企業に消費税のインボイス方式が課せられることが決定したと聞いた。ウェブで探しても、いまのところでてこない。

付加価値税では、このために「インボイス」を用いる。これは、取引の各段階で売り手から買い手に引き渡される書類だ。つまり、売上伝票のようなものである。ここに、販売額とともに、それに含まれる付加価値税額が記載されている。購入者は、売上額×税率から、インボイスに記載されている税額(仕入額×税率)を控除したものを納税額とする。

消費税率引上げ前にインボイスが必要 | 「超」整理日記

現在は、年間の取引の仮受消費税と仮払消費税を帳簿で記録して、その差分を納税することになっている。一枚一枚の伝票で差分を申告するのと、税額はかわらんじゃないと真面目に申告している方々は想うに違いない。しかし、世の中にはこれを悪用する人がいるらしい。確かに最近の企業への税務調査は消費税の部分に焦点を当てたものが多いとも聞く。

インボイスなしでは生活必需財を非課税にできない
インボイス不在で生じる第3の問題は、生活必需財を非課税にできないことだ。最終段階での課税を行なわないこととしても、仕入れに含まれている税までは控除できないから、消費者はそれを負担することになる。

消費税率引上げ前にインボイスが必要 | 「超」整理日記

たぶん、今後、低所得者への逆進性への考慮として、一定額の控除をするのではなく、野口氏が指摘するように「生活必需品」などを非課税扱いにするための布石なのだろう。

しかし、これに伴う企業側の事務負担は莫大だ。すべての取引に対してインボイスがなければ、消費税の控除ができない。これまではレシートや、領収書で消費税額を計算して、仮払消費税として記帳できた。一方で、政府は消費者の抵抗を考慮して、領収書は税込み金額のみの記載を推奨してきた。ちょっとした企業なら、インボイスと領収書等との照合だけで一人分の仕事ができてしまうのではないだろうか?下手をすると消費税の増税以上の見えない増税だ。あるいは、相当な改編費用をかけてのシステムの更新が必要となるかもしれない。まして、この電子取引が進むこの現代で紙のインボイスを税務署から買って使えというのか?

 メリット…複数税率制への対応と税の捕捉がやりやすくなること、ロジスティクス(流通)に張りついているシステム屋さんが儲かること
 デメリット…事務量が増えること

消費税インボイス方式のメリット - 財務・会計・経理 - 教えて!goo

本当に消費税のインボイス方式を導入するなら、合理的で、電子化、省力化出来る会計基準を整備してからにして欲しい。切なる願いだ。