以前軍用のネットワークの論文をざらっと読んだ。いくつかの特徴があったように記憶する。
- とにかくつながる。
- 有線でも、無線でも、LANでも、携帯回線でも、軍用無線でも、利用できる物理回線は使う。
- 必要に応じて複数のIPの発行、複数プロトコルへの対応ができる。
などであった。
iPhoneを使い始めて、これらの特徴をターミナル、ネットワークの終端として備えていると感じた。
メールだけでも、SMTPメール、携帯メール、SMSショートメッセージ、などなど。HTMLベースの共有サービスとして、FB、LINE、Skypeなど。音声、リアルタイム動画通話もほぼ同様。
しかも、アドホックネットワークと言っていた時代は、相当な訓練と維持努力があって実現できたものが、ほぼ誰でもできる。詳細な比較は私の力を超える。後で、文献などは探す。
商業資本投資が、軍用のそれを超えた証明ではないだろうか?
■追記
自宅に着いて改めてウェブで検証。
無線LANのようなアクセスポイントを必要としない、無線で接続できる端末(パソコン、PDA、携帯電話など)のみで構成されたネットワーク。「無線アドホックネットワーク」、「自立分散型無線ネットワーク」とも言われる。
アドホックネットワークとは 【 ad hoc network 】 - 意味/解説/説明/定義 : IT用語辞典
端末だけでネットワークを構成できることが要件なので、少なくとも物理ネットワークとしては基地局依存の携帯電話サービスはアドホックとはいえない。テザリングは、ま、端末としての性格と、ルーターとしての性格を兼ね備えることにはなるが、多重テザリングがiPhoneでできるとは聞いていない。
実際にインプリメントされた/されつつある軍用ネットワークテクノロジーとしては、統合戦術無線システムがある。
JTRS(「統合戦術無線システム」)は、陸軍の歩兵用無線機から航空機用の戦術データ・リンクに至るまで、全軍の全階梯で使用されるあらゆる通信設備について、オープンアーキテクチャ(商用オフザシェルフ)化された同一の基本設計に統一し、相互運用性を向上させることを狙って開発されている。ただし、極めて野心的な計画ゆえにコストの上昇をまねき、数度にわたって計画の見直しを受けている。
統合戦術無線システム - Wikipedia
文中にあるように、このネットワークは、「商用オフザシェルフ」が特徴であるという。
近年軍事目的で注目されているのがこのCOTSを用いた兵器開発である。特に一から開発する事が多く、コストが嵩み易い軍事兵器の一部にCOTSを用いる事により、ライフサイクルコストを含むコストと開発期間を削減すると言う目的があり、採用例が増えている。
一例として、イギリス海軍の最新攻撃型原子力潜水艦アスチュート級に搭載されるコンピュータのハードウェアは、CPUにインテル製Pentium 4 2.8GHzを搭載し、メモリ容量は1GB、OSはWindows2000、ディスプレイは18インチの液晶ディスプレイ(Matrox製ビデオカードによるDVI接続)、すなわち完全なCOTSである。もちろんそのWindows2000上で動くソフトウェア(ミサイルや魚雷の発射やレーダーの処理など)はWindows上で動くように作られたものではあるが、それでも軍用コンピューターを新たに作るよりコストも期間も少なくて済む。
商用オフザシェルフ - Wikipedia
この意味では、私の出した軍用ネットワークと商用ネットワーク機材の関係は、それほど間違っていなかったことになる。