ある社長さんとお会いした。大きな事業体の中から、新しい事業を創造し、独立された方だ。想像できる限りの事業に関する質問をした。これまで永いことかかわってきた私の目から見てかなり完成度の高い事業構造だった。
いつからこの仕事に取り組んだのですかと聞いたら、リーマンショック以降だとおっしゃた。リーマンショックは08年秋だから、実質3年と少し。この間私は、景気の波に揺れ、法律の改正に揺れ、大震災で揺れ、状況対応をしているばかりの受け身であった。私がゆらゆらしている間にこれだけ立派な展開を主体的にされているお姿に感銘を受けた。
社長の仕事は「お客様を増やすこと」だというドラッカーの言葉が身にしみる。「お客様を増やす」というのは、単純に営業まわりを社長がしろという意味ではない。いや、それでみんなが幸せになれるなら、店頭に立でも、毎日お客様のところに営業にまわるでも何でもする覚悟はある。本当の意味で「お客様を増やす」とは、お客様が自然と集まってくる事業の仕組みを作ることだ。会社を革新することこそが社長の仕事だ。既存の事業構造をある意味否定することは、会社の中で社長しかできない。今日会ったこの社長さんのように新しい事業構造を構築する、お客様が自然に足を運んでいただける商品開発をする、誰もが思いもよらなかった永続するルートをつなげる、なにより自分が革新する。主体性を発揮し、矢印を自分に向けて仕事をしようと改めて胸に誓った。
事業構造と自分を変える種はきっと現場に落ちている。人は自分を革新してなんぼだ。