「繁栄」も下巻の第八章、「現代の二大悲観主義ーーー2010年以降のアフリカと気候」にさしかかった。ちょうど友達から借りているDVD版「銃、病原菌、鉄」の三巻の「アフリカの旅」と内容が重なる。
- 作者: マット・リドレー,Matt Ridley,柴田 裕之,大田 直子,鍛原 多惠子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/10/22
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- 作者: ナショナルジオグラフィック
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考えてみれば、当たり前なのだが南北アメリカと同じ頃に現在の南アフリカ共和国のあたりから西欧人が入植を初めた。もう400年も前だ。しかし、南北アメリカで先進国がいくつも誕生し、一人当たりGDPも数万ドルを超えているのに、アフリカでは現在に至っても一人当たりのDVDが年間数百ドル、いや数十ドルに過ぎない国ばかりだ。
このアフリカの停滞にはいくつか理由がある。例えば、伸びない平均余命。「銃、病原菌、鉄」DVDによると、いまでもアフリカの子どもの死因のナンバーワンは、いまもマラリアなのだそうだ。元々、アフリカの部族民は拡散して暮らして、マラリアが広がらないように対応していた。しかし、西欧文明が入ってきて都市に集中して暮らすようになり、感染に対してなすすべもないらしい。映像でリアルに、子どもが死んで行くのを見るのはつらい。
ジャレド・ダイアモンドも、病院のシーンで涙を見せ、「感情抜きで本を書きましたが、アフリカへの旅で歴史ではなく現在も進行していることがわかりました。」と語っていた。
実際、これまで何度も実施されてきたアフリカ諸国への援助も効果をあげていない。
アフリカの指導者のなかには、海外援助に失望し、ザンビアの経済学者ダンビサ・モヨの提案に共鳴する人がいる。モヨはこうきっぱり結論づけている。「援助は成果を上げていない。それは過去にも成果を上げなかったし、未来にもあげることはないだろう・・・・それはもはや潜在的な解決などではない。すでに問題の一部であり、実際、それこそが問題なのだ。」
「ウィー・アー・ザ・ワールド」がついこの間のように感じる。人の善意の網は感動する。「send them your heart so they'll know that someone cares」(あなたのこころをとどけましょう、そうすればきっと自分たちをを気にしている人たちがいることも伝わります)と。
こうした「停滞」の中、アフリカで唯一成功しているのがボツワナなのだそうだ。
ボツワナは1966年の独立以後、豊かな天然資源と手堅い経済政策、安定した政治状況や高い教育程度に基づき、世界最高水準の経済成長率を1980年代末まで維持し続けた。その結果、他の多くのアフリカ諸国とは異なり「世界最貧国グループ」から抜け出し(1994年に指定解除)、1人あたりGDPはマレーシアやアルゼンチン、ルーマニアなどの他の大陸の工業国と同クラスの世界60位前後に位置し、「中所得国」に分類されるなど、堅実な経済状況を保ち続けている。
Üツワナ - Wikipedia
マット・リドレーによれば、地理的条件よりも、埋蔵資源よりも、すぐれた独裁政治家よりも、成功をもたらしたのは、ボツワナのボトムアップで制定された財産法なのだという。財産法が人びとの間で定着していれば、人と人との信頼が交易が容易に拡大する。やはり、ソーシャル・キャピタルのしっかりしている国は強い。
今後については、携帯などのイノベーションが大切になるという。
ボトムアップの変化のすばらしい事例として、貧しい人たちがアフリカ大陸のいたるところで熱心に携帯電話を活用したケースを紹介しよう。(略)ケニアでは、国有の陸上通信線の貧困さに業を煮やし、総人口の四分の一が2000年以降に携帯電話を購入している。農産物を市場に出す前に、農夫は方々の市場に電話を入れて一番の高値で売れる市場を探し出す。おかげで暮らしが楽になった。(略)携帯電話が、一種の非公式な銀行・決済システムになっているのだ。(略)現在、マイクロファイナンス・バンキング、携帯電話、インターネットを組み合わせ、西側の個人がアフリカの起業家に(キヴァなどのウェブサイトを通じて)小口融資するシステムが指導しようとしている。
たまたま先日キヴァのパンフレットをいただいた。
経済学者はこうした人の善意をどう説明するのだろうか?キヴァの基金はすでに一億ドルを超えたのだそうだ。いまの我々はこれまでにないほど人の善意に満ちた世界に生きているように私には思える。
ジャレド・ダイアモンドも、マット・リドレーも、口をそろえてアフリカは「停滞」から脱却可能だと言う。めずらしくこの二人の結論が同じだというのが興味深い。
もう眠くなってしまったので、今日はこの辺で。
■謝辞
DVDを貸してくださった敬愛する友人、S君、ほんとうにありがとうございます。
偶然にもKIVAのパンフレットをくださったHiroetteさん、感謝もうしあげます。いろいろなことがつながって行きますね。