非常に詳細なデータがたくさん出てくるのだが、それらがひとつもマルサスの法則と整合していない。これでもかと整合しない。
- 作者: グレゴリー・クラーク,久保恵美子
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2009/04/23
- メディア: 単行本
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本書の主張は人類は1800年代以前、10万年に渡ってマルサスの罠にはまっていたという。それは技術的進歩が人口増によって打ち消される世界であり、出生率が低いほど、そして、死亡率が高いほど一人当たりの所得が増えるのだという。
この具体例として1300年代以降の英国とアジア特に日本が例としてあげられる。アジアは英国に比べて出生率が有意に低いのに、「日本はずっと貧しかった」というのだ。
産業革命以前に営々と積み重ねて来た内部変化が、近代以降の急成長の要因になったという主張は全面的に肯定したい。しかし、もしそうなら決して英国、日本の成長は「偶然」ではない。「銃・病原菌・鉄」などの「ビックヒストリー」を扱った研究とこれまた矛盾する。