いや、実は数年前から書かなきゃいけないと思っていた。でも、章立てすら自分ではまとめられなかった。
先日の勉強会でのプレゼンは、一応わかりやすく作ったと自分では思っているのだが、どうもそうでもないらしい。
あ、そうですな、Q&A、FAQを作ればよいのかな?
ベルカーブといわれる偏差値に象徴される正規分布とは違い、極端な値もごくわずからな確率でも起こりうるよという分布の形をです。たとえば正規分布では、平均値から標準偏差の3倍以上の変異はコンマ数パーセントの確率でしか生じないと言われます。これに対して、べき分布では「まぐれ!」ともいうべきことがらは極端に起こる回数は少なくとも確率ゼロにはならないロングテール状態となります。
うーん、全然わかりやすくない!
- ネット信頼通貨とはなんですか?
プレゼンから引用(改訂)。
「ネット信頼通貨」という言葉は、いまとなっては誰が言い出したかわからない。どなたかからヒントをいただいて、次の記事を書いた時に、ネットやリアルでのごく身近な方々とのやりとりは、通貨みたいだよねって気づいた。
人の幸せってリアルのお金だけじゃなくて、ネットの上でのやりとりでも十分に感じられるという意味でタイトルをつけた。「あなたのブログを読んだよ」って、コメントとか、トラックバックとか、足あととか、エントリーを読んでアクセスカウンターを増やすことですら、人の好意と時間以外物理的なコストはほとんどかかってないから、どんどん増幅していくよね、インフレ傾向だよね。でも、こういうインフレならみんなハッピーじゃん。という趣旨で書いた(ような気がする)。
この延長線上にTwitterみたいなマイクロ・ストローク(交流分析でいわれる人の好意の単位みたいなの)にはまる人が出るのだと私は思う。あそこは実は好意というか、(良い意味で)サルのけずくろいみたいなもので、人の思いつきや、ためいきをだれかが拾ってくれるという稀有な場かと。このもう少し手前でいえば、SNS自体が時間と空間を超えて人の好意が取引される市場なのかもしれない。
そして、もっと先にid:sakamataさんが考えられていらっしゃったり、「エンデの遺言」に出てくる地域通貨がある。
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- ネットワークや複雑系の話がなぜ貨幣とか経済の話につながるのですか?
現在(2008年)金融危機が叫ばれています。この原因は金融派生商品、いわゆるデリバティブ商品の信頼性が失われてしまい、デレバレッジといわれる信用収縮が起こっているからだと私は考えています。では、なぜ金融工学といわれる高度な手法を使った金融派生商品が99.99%大丈夫だという格付けをもらいながら値段がつかないところまで追い込まれてしまったのか?ここにべき分布と正規分布の話がでてきます。
ほとんどの金融派生商品はブラック−ショールズといわれるオプション取引の値づけの方程式を使って生成されます。実はこの式は正規分布を元に定式化されています。フラクタルなどで有名なマンデルブロは、この式が世に出るより以前に綿花の価格の長期にわたる研究から価格の変動は正規分布せず、フラクタル曲線で近似される変動、あるいはべき分布するのだと発見したと言っています。
- 作者: ベノワ・B・マンデルブロ,リチャード・L・ハドソン,高安秀樹,雨宮絵理,高安美佐子,冨永義治,山崎和子
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仮定の話は意味がありませんし、べき分布か否かというよりも一定の範囲の中で定式化したことを応用する工学的な手法を、無制限に金融市場という化け物に適用しようとしたこと自体が問題だとも考えられますが、べき乗則という考え方を理解したうえで今後の経済活動を考えていくことは意味が深いと私は考えています。
- 作者: ナシーム・ニコラス・タレブ,望月衛
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- まだなぜネットワーク理論から貨幣や経済活動の話につながるのかよくわかりません。
価値を測る、価値をためる、価値を交換するといったお金の機能のひとつに、世界をつなぐことがあると私はこのコミュから学びました。つまり、お金とはネットワークそのものであるのです。
このことは安冨歩先生の「貨幣」をめぐるシミュレーションによく表れています。エージェントモデルと思考実験により、貨幣とは選択の束であり、交換される商品のうちからネットワークのハブとして成長し、貨幣として立ち現れ、崩壊していく様子を具体的に示してくださいました。
- 作者: 安冨歩
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ちなみに、貨幣の崩壊の確率もべき分布するようです。
現在の金融危機も、「貨幣」としてほとんど確立されかけていた「金融商品」の「崩壊」と位置付けられるのかもしれません。べき分布的にいえば、貨幣経済を行っている限り富がべき分布し、金融市場の生成と崩壊もべき分布すると結論づけられるのだと私は思っています。
- どうも話を聞いていると崩壊が運命づけられているというような運命論者のような気がします。
べき乗則とネット信頼通貨を通して私が考えさせていただいたり、本を読んで勉強したりしたことの帰結はあまり私を元気にさせるものではなかったのは事実です。最近、道路網から、電車網から、電脳から、送電線網から、タンパク質の相互作用網から、世界経済網から、ハブが生成し、崩壊することがひとつの帰結であり、ネットワークの高度化とは爆発的な縮約を生み、誰もが緊密になればブレがすくなくなるという期待とは裏腹にボラティリティーが大きくなっていくような気がしてなりません。
私自身はここにひとつの限界を感じていますが、次の世界を創造する方々はいらっしゃいます。
ふう。とりあえず、今日はここまで。