HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

人類滅亡−LIFE AFTER PEOPLE−

たまたま、昨日ヒストリーチャンネルで見た。

そんなに有名な番組だとは知らなかった。デイヴィッド・ブリンが出てきたりして、力は入っていると思ったけど。

人類が突然地球上から永久に消滅したら地球に一体何が起きるのか?生態系はどうなるのか?人類が築いてきた産業社会は残るのか、あるいは即座に粉々に崩壊していくのか?それらの疑問に対して一定の回答を見せてくれるのが、一日中、歴史関連や教養関連の番組を見ることができるアメリカのCATV「The History Channel」にて放送される「Life After People」という番組。

人類滅亡後の地球はどうなるのかを描いた「Life After People」 - GIGAZINE

ヒストリーチャンネルで最も視聴者があった番組なのだ、と。

The feature premiered on Monday, 21 January 2008. With an audience of 5.4 million viewers, Life After People was the most watched show ever on the History Channel.

Life After People - Wikipedia, the free encyclopedia

英語版なのが残念だが、もうネットで見れる、全編を。ありがたいことだ。

http://video.google.com/videoplay?docid=4939078184096254535

建築関係者として、ひとこと言っておけば、すでに人間の平均寿命はほとんどの建物の寿命を遙かにしのいでいる、...非常に残念なことに。これは建築関係者の努力不足を意味することではない。西岡常一さんの仕事のような千年を目指す仕事以外で、いやそういう仕事でもメンテナンスがなければ建物というのはあっというまにobsoleteになってしまう。構造体の種類によって多少は寿命は違ってくる*1。人の世には、その違いこそが大事なのだだが、千年、万年単位の時間を考えれば、それこそピラミッドや、万里の長城のような採算度外視で、人々を奴隷のように使える建築物でなければ、番組のいうとおり千年でほとんどの建築物は崩れ落ちてしまうだろう*2。繰り返すが、攻殻機動隊ではないが現代の生活を維持するためには驚くほど莫大なメンテナンスが必要なのだ。

人がいなくなった後の世界を考えることは、そのままいかに人は生きるべきかという道筋を示してくれる。

How Buildings Learn: What Happens After They're Built

How Buildings Learn: What Happens After They're Built

Danさんがご紹介されている本とこの番組は関係が深いのだろうか?

本書「人類の消えた世界」は、文字通り、たった今この瞬間に人類がこの宇宙から消えたら、地球はどうなっていくのかを、現在の科学の知見をめいっぱい駆使して演繹してみた一冊。実は一ヶ月以上前に見本を頂いたのだが、挿絵付きの完成版はやはり迫力が違う。

404 Blog Not Found:文明の九相詩絵巻 - 書評 - 人類が消えた世界

*1:案外知られていないことだが、現代の建築構造設計の半ばは、いかに建物が崩壊するかについてのチェックにそそがれている。がらがらとくずれるのではなく、人が脱出できるる形で崩れるためにはどうしたらよいかが大事だと法律に書いてある。

*2:これも誤解されがちなのだが、このゆえに建物とはそれを使用する人々にとってメンテナンスに値する価値を持ち続けなければ、人の寿命より短く崩壊する。逆にいえば、銅像を建てたり、権力の象徴として建物を建てるよりも、いかにそこに人が集まり、人の和を維持発展させる工夫がなされているかが、建物の価値を決める。