「風の谷のナウシカ」(ISBN:419210010X)を読んだ。
ナウシカがどこまでもどこまでも透徹していく姿に感動した。無慈悲で正義のかけらもない戦争が生々しく描かれていた。ここのところ戦記ものというか、第二次世界大戦前後の文献などをあたっていたので、特になまなましく感じるのかもしれない。宮崎駿というひとは相当に戦争の研究をした人だろう。クシャナの率いるトルメキア第三軍とドルクの主力兵があたるシーンは、実はかなり戦争指揮に通じた人が描いた場面だといえよう。
人間の欲望のみにくさ。人間の生み出した「大海嘯」による大量の死、死、死。「大海嘯」の後の土地の取り合いで、「大海嘯」そのものよりも人の命が奪われる恐怖。
人の穢れを自覚しながらも、人間自身を選び取るという勇気に感動する。
ちなみに、ネットワーク的な視点から考えれば、ノードである王蟲や、作られた人間たち、腐海、そしてヒドラを「過去の人間たち」は作ったかもしれないが、そこで生み出されるネットワークたる歴史、エコロジー、友愛などの相互作用までは設計し切れなかったといえる。いってしまえば、ナウシカは間違いなくハブであった。
・「風の谷のナウシカ辞典」
http://www.sssp.mihara.hiroshima.jp/~shusui/shuwa/naudic/
そして、世の中では....人には本当に救いはないのだろうか?