HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

NPVとマイナス金利

先日、金融機関の方とお話ししていて国債の値付けはマイナス金利下だと正味現在価値はどうなちゃってんだろうという話しになった。ファイナンスを学んでいたのは、もう数十年前なので久しぶりにDCFのシートを作ってみた。

日本の国債10年ものとの照合をした。

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10年利付国債(第346回)の入札結果 : 財務省

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一番したの一番右側の数字が実質利回り(NPVを国債価格とした時のIRR)になるはずなのだが、ちょっと合わない。

同様に米国債でもやってみた。

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米国債・金利 - Bloomberg

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これもちょっと合わない。まあ、それでも期待インフレと10年国債の実質利回りはほぼ一致するはずなので、ほぼ0%の日本国債はまだデフレ脱却できていないことを示し、米国債の3%代は発表されているインフレ率よりも高いがデフレではないことを国債価格も示していることになる。

jp.tradingeconomics.com

正直、マイナス金利下では国債の利回りも実は期待インフレ率マイナスの値付けとなっているのではと思ったがそうでもなさそうだった。マイナス金利下におけるDCFはもう少しいじってみるつもり。

RPAは働き方改革の鍵となりうるのか?

最近、IT関係の方とお話していて「Robotic Process Automation (RPA)」という言葉を初めて知った。以下、自分のお勉強のためのメモ。

winactor.com

ちょっと気になるところを抜書きしておく。

www.youtube.com

  • ERPを扱うのが大変であれば、解決策はERPをカスタマイズするか、もしくはホワイトカラーを増やすか(アウトソースするか)、でした。そこにRPA(ソフトウェアのロボット)が登場したことで、オフィス業務も効率性の高い3層構造となったのです。
  • RPAツールとExcelマクロの違いとして、ノンプログラミングで誰でもシナリオ(ロボットの動作ルール)を作れることや、作ったシナリオの内容が分かりやすいためにブラックボックス化しにくいこと、ERPやWebを含むあらゆるアプリケーションを自動化できること、等の点を挙げられますが、本質的な違いとまでは言えないでしょう。
  • ノンプログラミングのRPAは、非IT部門でも使いこなせる
  • RPAのロードマップは、RPA発展の3段階として整理されています。第一段階はルールエンジンによる定型業務の自動化、第二段階は少しAI要素が加わった高度な自動化、第三段階はAI技術の完成に伴う完全な自動化、というのが大よその定義です。
  • RPAは、日本が抱える、このような労働人口減少の問題解決にも貢献します。RPAで人間でなくてもかまわない定型業務を自動化すれば、人間が行うべき業務が精査されより効率的に業務を遂行することが可能になるでしょう。

ずいぶん昔に、「部門コンピューティング」ということが言われた。これは、IT部門や、SIerにホワイトカラー業務の自動化を任せるのではなく、部門の担当者自身がOA化(死語)することを意味した。大概の場合、人任せの業務の自動化は帯に短し襷に長しでものの役にたたない。

4thDimensionというFileMakerのいとこくらいにあたるRDBMSで人事データベースをMac上でつくった。仕様づくりから始まり、実際のコーディングも半分くらいはやった。仕事をしていて、自分があたかも仮想環境の中に入り込んでプログラムをしているような感覚を味わった。とにかく、部門コンピューティングをしていて、全く違和感もなく、じつに楽しい思い出だ。

17年ぶりのMac - HPO機密日誌

とはいえ、日本の限らず世界中で自分の業務を論理的に、自動化できるほどステップ・バイ・ステップで説明でき、なおかつそれをコンピューター化できる人材はほとんどいない。

togetter.com

という前提において、RPAって業務をG Suiteでみんなで行うことを当たり前にして、みんなでちょっと苦労してでもGoogle Apps Scriptを習ったほうが生産性あがらないか?

hpo.hatenablog.com

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(仮題)悲しきフーガ

昨日、ハラリ氏の「Homo Deus」とSF小説について書いた。スーパーAIが支配する世界がどのような形になるのか、ハラリ氏の「無用な大量の人々」の未来ではなく、すべての人が適切な職業に就ける未来はないかという対比で触れた。この「SF小説」とは私の中でいつのまにかカート・ヴァネガット・ジュニアの「プレイヤー・ピアノ」だと思い込んでいた。Amazon、Wikipdiaで調べて見ると、どうも私の記憶と違う。別の作品らしいと。しかし、探してみたがどうにも出てこない。もうすでに短編集の中の一つであったか、SFマガジンで読んだのかも思い出せない。私が幸せなSF少年だった1980年代の作品だと思う。いまも鮮明に覚えている。それは、こんな物語だった。

誰もが生まれたときから、どのような才能に恵まれ、なにを職業にすべきか自分の特性からも性格からも完璧に分類される未来の時代。人々はとても幸せに暮らしていた。ある時、一人の少年が生まれた。物心つく前から音楽の才能を見出され、ありとあらゆる音楽から隔離され、森の中の一軒家で暮らすことになった。この音楽も、譜面もなくとも、この家には万能の演奏機が備えられていた。音楽の天才だと言われたこの少年はいつしか自分でこの演奏機をマスターし、自分自身の音楽を作り、演奏し始めた。

少年が演奏するたびに、人が集まってくる。音楽を聴くことが最高の幸せであり、才能を一番発揮できる人たちだ。人々はこの少年の才能を褒め称えた。しかし、この少年の音楽のオリジナリティを「汚染」しないために、この人々と少年の接触は禁じられていた。インスピレーションを得るために散歩している少年に、この禁をやぶった聴衆の一人が少年に音楽を渡した。「君にどうしてもバッハのフーガを聞いてほしい。君の音楽の中にはバッハを超える才能がある。」と。

少年は、バッハのフーガに魅入られた。自分が見出しえない音楽の体型としての調和をそこに見た。体制側に気づかれてはならないので、フーガ形式以外でバッハを聞いたインスピレーションから曲をたくさん書いて演奏した。そんなある日、めくらと片足と唖の三人組の男が少年の家を訪れる。

「君はバッハの曲を聞いたね。『聴衆』の中の一人からもらったのだろう。もうその『聴衆』も『処理』した。君の曲からフーガ形式の曲がなくなったのですぐにわかった。しかも、ソナタや、他の形式のいたるところにバッハの調和がこだましている。君は、もう『作曲者』ではいられなくなる。君はもう二度と曲を演奏することはできない。」

そういうと、三人組の男は奇妙な装置を取り出した。

「ここに指入れなさい。痛くはないから。」

少年は抵抗しようとしたが、押さえつけられ装置に指を入れられた。音もなくレーザーで少年の両手の指は切り落とされてしまった。


場面は変わり、道路工事の現場での作業員達が働いている。完璧な社会なので、道路工事の作業員であることに彼らは誇りを持っている。腕っぷしも強い。延々と伸びる大陸を横断する道路を作っているので、移動式の宿舎に彼らは住んでいる。夜になると、焚き火を囲みながら、酒を酌み交わすのが彼らの楽しみだった。威勢もよく、自分の仕事に誇りを持っている彼らだったので、お互いに仲もよく、話しははずむ。そんな中で、一人だけじっと押し黙っている男がいた。

「よお、若いの!そんな隅っこにいないでこっちへ来いよ。そうだ、なにか歌でもうたえよ」

声をかけられた男は迷惑そうであったが、あまりに何度も強要されるので歌をうたった。それは道路作業者達の、いや世界の誰も聞いたことがない歌だった。みな聞き惚れてしまった。歌う男はすっかり作業員達の人気者になってしまった。

そんなある日、男たちの酒盛りに、めくらと片足と唖の三人の男が現れた。

「君はまた約束を破ったね。もうここで働くことはできない。」

作業員達は、歌う男をかばった。

「こいつはいいやつなんだ。なんで歌をうたっただけで、ここから出ていかなきゃならないんだ!」

めくらの男が答えた。

「この世界において人は誰も一番自分にあった仕事をすることができる。誰もが満足しているすばらしい社会だ。しかし、彼の歌には反体制の響きがある。君らも、彼の歌を聞いて、もの悲しい、すべてが虚しいような想いを持たなかったかね?」

そう言われた答えられる男は一人もいなかった。みんな誰もが自分の仕事が大好きだったし、確かに歌う男の歌にはなにか悲しさが含まれていたことを否定できなかったからだ。今度は、歌う男の声帯が切り取られてしまった。


この後、本来の物語ではもうひとつのエピソードが語られる。しかし、私には思い出せない。もうひとつの仕事でも音楽を忘れられなかった男は、とうとう目もくり抜かれしまった。3つの職業のいずれもまっとうすることができなかった元の『作曲家』はめくらと片足と唖の三人組に聴く。指も声も視力もない彼がどう質問できたのかも思い出せない。

『どの職業についても音楽をわすられなかった私はどうなるのですか?」

めくらが答える。

「君にはうってつけの仕事がある。」

それから、十年後、完璧な社会をゆるがす人物のもとに、めくらで唖で指のない男が盲導犬とともにあらわれることが伝説として語られるようになった。史上最も徹底した社会の不適合を狩り出す男だと言われた。

どなたか、この物語をご存知の方がいらしたら教え欲しい。

ハラリの未来と製造現場の生産性革命

昨日に続き、ユヴァル・ノア・ハラリのTED、TEDトークを見た。

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「Homo Deus」はまだ本屋の立ち読みレベルなので、以下の私のハラリ氏の製造現場理解への懸念はすでに内容に含まれている可能性がある。

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 上: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

ホモ・デウス 下: テクノロジーとサピエンスの未来

多少なりとも、製造の現場にかかわらせていただいているものとして、現代においてもAIや、データの流通を可能にする社会基盤、あるいはその入れ物そのものは圧倒的に人力で作られている。あるいは、その製造機械のメンテナンスは人力以外のなにものでもない。例えば、世界で最も最先端であるトヨタの製造ラインはよく止まることで有名だ。言及するまでもないほどのビジネスの名著、大野耐一氏の「トヨタ生産方式」によると、トヨタは「自働」という「にんべん」のつく「働」にこだわるのだという。製造ラインの人が「しまった!」、「ここがきちんとできていない」となるとたとえ期間工であっても目の前のひもを引いて製造ラインを止めることができるのだそうだ。実際にラインを見てきた人によると、見事なのはその後の対応。わらわらとどこからともなく十数人の人が集まってきて、目の前の仕掛りへの対応をする人、前後の製造計画を調整する人、問題の根本的な原因を追求し解決する人などあっというまにミーティングが行われ、対応がなされ、なにごともなかったがごとくラインが動き始めるのだという。私の知る限り、ほかの製造ラインでも、順調に作っている状況よりも製造の組み換え、金型の入れ替えなど、たぶん稼働していない時間の方が圧倒的に長い。

ということは、圧倒的なAIが実際に存在するようになったとして、ハラリ氏が主張するような"useless people"の存在をAIが許すわけがない。逆に、世界中のデータをすべて「アルゴリズム」で処理できるAIもしくは、「AI群+ひとにぎりのスーパー人類」が存在するようになったとしたら、すべての人類を活用した製造ラインなり、サービス提供に組み込むようになるだろう。なぜなら、私のような凡庸な人間が考えても、ひとにぎりのエリートと圧倒的に「あんたは無価値だ」といわれる層に分けたとしたらその社会は限りなく不安定になるからだ。

ここで議論すべきは、20世紀の社会主義社会が陥った社会的再計算問題だ。今の所、スーパーAI、スーパー人類が出ても、それらはお互いに予測しあえないので、21世紀の現在においても、原理的に「社会主義計算問題」の不可能性は有効だ。ここでもハラリ氏の真意をあとで調べたい。

想像しうる最高速の計算機があったら完全な社会体制は設計可能か?仮に「宇宙の究極の答えは42だ」と答えられる性能の計算機があったとしても、常に先はある。その計算機を利用して行動する人間がいる。最高速の計算機を利用する人間の行動は、最高速の計算機では予測不可能となる。その他、語るまでもない様々な相互作用とブラックスワン的不可知性により、完璧な社会制度は設計し得ない。

ファシズムとカール・シュミット - HPO機密日誌

ちなみに、SFの世界ではこうした問題はかなり分析されている。たとえば、すべての人々が「システム」により完全な職業に割り当てられる世界を描いた「プレーヤーピアノ」はとても有名だ。

これ以外に完璧に人が割り当てられた社会におけるピアニストに生まれついた男の話があったのだがタイトルが思い出せない。よくよく調べる。

Homo Deusとベーシックインカム

コンビニでたまたまユヴァル・ノア・ハラリのDVDを見つけた。なかなか大著を読む余裕もないのでなんかの空き時間に見ようと買い込んだ。

思いの外、面白かった。ああ、内容に入る前にAmazonのコメントでこのインタビュー番組がそのままYoutubeで見られるとあったので、探してみた。

www.youtube.com

自分でAIの専門家ではない、歴史家なのだと言いながら、「人間がAIが発展した高次の存在によって取って代わられる。その段階で人間自身は大半が不必要(irrelevant)な存在となる」と断言していた。"irrelevant"なんて、"Person of Interest"(PoI)の見過ぎじゃない!PoIの詳細はここでは書くべきではないが、このテレビドラマにおいてほぼ人間を超える存在が描かれ、人間社会とこの超知性との共存において一人ひとりが"irrelevant"であるかどうか、選別されてしまう。

hpo.hatenablog.com

前提として、現在のAIが「パターン認識」において優位性があること、すべての「データ」を扱うには人間の知性ではすでに手に余りことであることを指摘している。そして、「アルゴリズム」こそが神であると言わんばかりに、ごくごく少数の、しかも民主主義的な決定をされていない一群の人々によって世界の在り様が決まってしまうのだと*1。そうした中で、大半が働く権利すらない”irrelevant”な存在になってしまうと。それでも、「個人情報」こそが人に残された数少ない「資産」となるの、この扱いはよくよく議論されるべきだと指摘している。

hpo.hatenablog.com

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インタビュー、質疑でのやりとりを見ていても、めちゃくちゃ賢い人なのだと伝わる。人が既に「神」の領域にたっていることもよくわかる。また現代社会において「アルゴリズム」、人では扱えない巨大なデータをどう処理するか、どう意思決定に使うかこそが現在議論されるべきだとも思う。しかし、「超知性」の勃興によっても、人間はその存在目的を失わない。逆に、「超知性」は自身の目的を設定し得ない。なぜなら人間の被造物であるのだから。これは自身が語っていた「スーパーAIに『円周率をどこまでも計算しろ』と目的を与えると、人間すべてを超知性のために虐殺または奴隷化し、地球全体を円周率を最適でありかつ永遠に計算しつづける体制に改変した」という仮想の物語が示している通り。

私も、ようやく現在のGAFAの世界において収入や、権力が圧倒的にべき分布刷るようになった時には、ベーシックインカムを含めて「働く必要のない大量の人々」の存在をどう体制化するか重要な問題であると認識した。

hpo.hatenablog.com

*1:先日、小学校のプログラミング教育は、まさに21世紀の終わりまで生きる可能性が高い現在の小学生達に来るべき「アルゴリズム社会」を生き抜くためには、物事の本質とはなにかを適切な言葉で表現する力を養うことだと聞いた。アルゴリズムを作る側に立つのか、irrelevantになるのか。ここから始まるのだと理解した。大谷選手のまんだら - HPO機密日誌

免震・制振部材のデータ偽装はすでに国際問題

数日前、台湾の友人とFacebookで話しをした。テレビ電話の質が非常に高くて、距離を感じさせなかった。列車事故の後だったので、日本製の列車が事故を起こして恥ずかしい、申し訳ない気持ちだと言ったら、「気にするな」と言ってくれた。

news.livedoor.com*1

会話を終えて、1時間もしないうちにメッセンジャーでこの友人から送られてきたニュースがこれ。

www.recordchina.co.jp

重要な部分を引用する。

検査データを改ざんしたKYBの免震・制振装置が台湾に輸出されていたことが分かり、台湾でも衝撃が走った。政府は各県と市政府に調査を行うよう指示した。日本を高く評価することの多い台湾だけに、衝撃はなおさら大きいようだ。

かなり、台湾の友人は憤慨していた。台湾を代表する建築物、「101」にはかなり日本の技術が使われている。問題を起こしたKYBの部材が使われていた可能性がかなり高い。

hpo.hatenablog.com

すべての写真-1481

建設業に関わるものとして身の置きどころがないほど恥ずかしい。友人にも面目がたたない気持ち。なんといっても、KYB社ともう一社で日本の免震・制振油圧装置の90%のシェアを占めているのだからほかの選択肢がない。本件は、国際問題として扱うべきだと強く主張しておきたい。

*1:この時点ですでに台湾国内では運転手の側の要因が大きいと伝わっていたのかもしれない。
「日本産」が死傷者数を抑えた?台湾脱線事故車両の「遊び」構造 - ライブドアニュース

料理は楽しい!

最近、時間の使い方が芳しくなかったが、料理を再開して、ああ、これだと納得している。

以前は、ベーグルを焼いたりしていた。

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生パスタもずいぶん作ったな。

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手間暇かけること自体に充足を感じるし、それを食べてまたおいしいと思えてまた嬉しい。さらに食べてもらって更にうれしい。料理ってすばらしいなと。