HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「樹木たちの知られざる生活」

ある人に勧められた読んだ。仕事で木材に関わる仕事をする人は読んだ方がいいよと言われた。

この本は、科学と観察に基づき、樹木たちが連絡を取り合い、お互いに生かしあい、抑制しあい、多くの生物と共生しあう様子が描かれてる。ただし、時間の単位は100年、1000年という単位だ。当然なのだが人間の手が全く加われない原生林こそが樹木たちにとって最も適合する環境であるという前提で書かれている。人間から見た有用性はここでは大きな意味を持たない。

驚いたのは、菌糸類が樹木と共生したり、逆に腐らせたりするのだと。現実の樹木の中に、ナウシカ腐海のように菌糸が広がっているのだと。

欧州のもともとの樹木は数千年、数万年単位で形成されたと。八千年の老木も存在するらしい。日本においても神社仏閣の建築に使える檜はほとんど取り尽くされてしまった。本書の時間単位で言えば、人間文明が滅びないと、本当に原生林、樹木たちの生活は戻ってこないのではないかと思えてくる。