HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

建築家の饒舌

隈研吾氏の「自然な建築」読了。先日、隈研吾さんのカドカワミュージアムを拝見してきた。この建物は岩山まるまる一つを崩してまで材を選んで作ったと聞く。なんとも建設屋泣かせの外壁だと思っていた。本書を読んで、なにを意図されているかが理解できた。隈研吾氏は、自然と人工の境を打ち崩したいのだと。本書にはますことなく隈研吾氏の哲学、こだわりが書かれている。

自然な建築 (岩波新書)

自然な建築 (岩波新書)

  • 作者:隈 研吾
  • 発売日: 2008/11/20
  • メディア: 新書

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隈研吾氏はとても文章がお上手だ。テンポの良い文章でほぼ一気読みした。一般の方は建築家の写真だけ見て職人のような寡黙さを期待してるのではないだろうか?実は、建築家という人種はみんな饒舌。安藤忠雄氏の大阪弁の講演を聞いたらイメージがひっくり返るだろう。昔をさかのぼれば、矢田洋氏の「建築馬鹿」をはるか昔に読んで以来建築家の饒舌さには驚くばかり。いやいや、それを言うならラスキンの「建築の七灯」か?

togetter.com

建築の七燈

建築の七燈

そんな気持ちではてなブをみていたら「理科系の作文」についての本の紹介に対して「そんなの書けて当たり前だろう」とはてぶだけ読んでコメントしてしまった。

本書は、この本は「理系の人のため」ではなく「理科系の作文」のための本だとお叱りをいただいてしまった。

冷静に考えてみると、建築家は自分の表現したいものを注文者、請負者、各種職人に理解させないと自分の目的を果たせない。従って、寡黙な建築家は自分の目的を達せない建築家となってしまう。もとに戻れば、隈研吾さんは建築を論じてブルーノ・タウトとの縁の話になりスーラからライプニッツまで論じている。こういうのを教養というのではないだろうか?

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あ、お前のように分けのわからない文章しかかけないやつに文書について言われたくないというご指摘は甘んじてお受けする。