HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

民主主義の基本は政府の選択を市民側が理解できることだ

こころから大賛成したい記事を拝読した。アゴラに投稿された篠田英朗氏のものだ。民主主義は政治をブラックボックス化しないことを前提に進む制度だと私は信じている。*1

agora-web.jp

思考過程を書かないとなぜこうなるかは理解いただけないだろうが、いま政府が行うべきは二点だと想う。過程はあとで書く。

  • 発見された感染者数の伸びが鈍化している今こそ徹底した調査を行う。
  • 発見された感染者を診察の上でその時点で軽症、無症状であればホテル等にそのまま収容できるように感染症関連法等を改正する。

これができれば、そう遠くない緊急事態宣言の解除も不可能ではないと考える。私のような一般民でもこう主張するに足るだけの情報が開示され、公(このブログ程度をそう言えるならだが)にできる自由が担保されていることが民主主義だと私は想う。また、更にその過程を説明することで反証が可能であることが大事だと心から信じる。

まず、篠田英朗氏が指摘された「鈍化」について。私もほぼ感染速度を毎日倍化日数を計算して確認している*2厚労省発表データなので、感染発生(オンセット)から発表まで日数が空いている。例えば、篠田氏ご指摘の3月後半での感染者数のかなりの勢いの伸びは、4月の初旬に厚労省データでは現れているように考えられる。PCR陽性者数の増加は4月初旬頃発表データから計算すると7日を切って6日強で倍になっている速度だった。3月から4月にかけてのNY等が5日程度ではないかと推測される。恐ろしいスピードだ。感染速度は、しかし、4月18日までのデータで計算すると7日を確実に超えている。10日という線まで見えてきている。

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https://datastudio.google.com/s/m6DKCIBx58c

増加速度についてモデルと実データの検証も行っているが別に説明した。更に減少シナリオのシュミレーションも行っている。

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https://datastudio.google.com/s/qv-UrZ3uGxo

こグラフは、西浦先生のグラフを見て、前述の自分のシュミレーションと、同じシュミレーションで接触数を20%、80%減らした場合のシナリオだ。

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http://agora-web.jp/archives/2045554.html

西浦先生は毎日の発生感染者をグラフ化している。厚労省の発表データのように一週間、10日と遅れてされたものではなく、その日を問題にしている*3。私の基づくグラフは「現感染者」数でプロットしている。私のモデルはごく単純に感染された一群の方々が一定日数(ここでは11日)経つと一定の割合(30%/日)で隔離されると仮定している。市井に潜在する感染者はある程度の数の人とあって、ある程度の確立で感染を広げると。このモデルに従ってシュミレーションしてみると、接触の5割減程度では減らず「現感染者」数は横ばいとなる。八割まで減らしてやっと新規感染者が西浦先生のグラフの通りに減り、順調に「隔離」(他に感染させない状況に置くこと)ができれば、感染の一定の囲い込みができたことになる。残念ながら4月20日現在の「現感染者数」をプロットしてみると、80%減というよりは20%減に近い。緊急事態宣言の後、都県の具体的な対策発表が遅れたし、感染発生から遅れて発見されるので、まだもう1週間程度見ていかないとここから「八割減少」シナリオに近づけるかは断定できない。

なにを言っているんだと思われるかもしれないが、ここまでシュミレーションしてみて西浦先生が「八割減」を主張される時の仮定が私には理解できた。明示されていないが、以下の二つを前提条件にしていると想う。もちろん、はるかに精度の高い、地域別、セグメンテーション別のシュミレーションをされているに違いない。

  • 緊急事態宣言により新規感染者を減らすことと同時に、確実に隔離する(そうでないとたちまち元の木阿弥)。
  • 医療崩壊を起こさないためにも、発見された感染者は重度でない限り病院以外に隔離する(そうでないと医療崩壊を起こしてさらに重度の症状の感染者、死者を増やし、結局は感染者も増える)

この二つの仮定が「八割減」の前提であればあ、最初の主張が実現されて初めて「囲い込み」になる。

  • 発見された感染者数の伸びが鈍化している今こそ徹底した調査を行う。
  • 発見された感染者を診察の上でその時点で軽症、無症状であればホテル等にそのまま収容できるように感染症等を改

幸い、軽症者を隔離するためのホテルは確保できているようだ。

www.nikkei.com

このまま増加の減少が進み、順調に入院者が退院していき、更にアビガン等の重症化を妨げる薬ができれば日本全体の状況は、私には奇跡として想えないゆっくりした伝染速度、世界から比べると明らかに低い重症化比率とあいまって、事態は好転すると期待している。明らかにいまは正念場、転換点となるかどうかの瀬戸際なのだろう。

*1:外交、様々な政策決定においてなんでもかんでもその時点で情報公開しろというつもりはない。敵に塩を送る必要はないのだ。

*2:グラフの倍化日数の計算方法について。
まず、10日間または5日間あけて累積PCR陽性者数の比を取り指数関数を仮定して一日当たりの伸び率を計算する。
スプレッドシートExcel式の例 =power(D28/D23,1/5)
次に、この伸び率で2倍になる日数を対数関数で計算する。
同様の例 =log(2,H28)

*3:けんもねずみ(@kenmo_economics)さんが感染発生日のエピカーブ描かれている。
datastudio.google.com