HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

医学部受験と働き方改革

某医学部で女子と男子で採点比重が変わっていたと報じられた。はてな界隈でも議論が沸騰している。私の第一印象。

東京医大の女子減点問題について、いち小児科医が思うこと

こんな話になるのも、四十年も医学部を増設してこなかったツケ。女性医師が離職しても行き渡る医師の数を生み出せるだけの医学教育エコシステムが現在存在していない。

2018/08/02 21:22
b.hatena.ne.jp

そういえば、米国においては学部の合格者数から、雇用、テレビ映画の番組にいたるまで男女、人種、最近ではLGBTのLGくらいまでは「割当」("quota")。

Racial quotas in employment and education are numerical requirements for hiring, promoting, admitting and/or graduating members of a particular racial group. Racial quotas are often established as means of diminishing racial discrimination, addressing under-representation and evident racism against those racial groups or, the opposite, against the disadvantaged majority group (see numerus clausus or bhumiputra systems).

https://en.wikipedia.org/wiki/Racial_quota

日本人的感覚ではかなり「無理筋」だと思うのだが、Quotaで回るようにすべての社会システムができているから回る。日本的センスから言えば期限に遅れたり、公共施設管理が十分でなかったり、「それでいいの?」となってします。たぶん、日本のようにちょっとした細かいことまでヒステリックに糾弾することを是とする社会ではまわらない。

女性医師が出産や子育てで仕事が続けられないことが医師不足につながっているのであれば、続けられるような対策を立てるべきだろう。男性にはきっと思いつきにくいだろうから、対策を立てるときには若い女医たちにも加わってもらう。そこまで頑張って勉強してきた女性が、あっさり仕事をやめたいわけはない。続けられる方法があれば、ほとんどの人は少々大変でも続けるものだ。

東京医科大学が恐れた未来はすでにアメリカで起こっている|アメリカはいつも夢見ている|渡辺由佳里|cakes(ケイクス)

日本的感覚なのはまさにこの発言。一部の優秀な現場の人間が死ぬほど働かされるシステム。なぜ現場の人間の優秀さが会社組織、システム全体の品質の向上につながらないのかが不思議でならない。

anond.hatelabo.jp

これは日本のほぼすべての産業にあてはまるのだろう。少なくとも、建設業界ではまるっと同じ構造になっている。だからこそ、時短でノー残業デーなどと現場任せにせずに仕事のやり方そのものに切り込む働き方改革をすべての産業分野で実施しなければならないのだと思う。

hpo.hatenablog.com

いろいろ議論を見ていて、さすがだと思ったのは厚労省の官僚の方々。ちゃんと先を見通して手を打っていらっしゃる!

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https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10801000-Iseikyoku-Soumuka/0000120212_4.pdf

はてな界隈で議論に参加している医師の方々は就業してから10年未満程度の方が多かったのではないだろうか?それは、自分のまわりでばたばたと女医がやめていけば危機感を覚える。しかし、長い目で見れば開業医としてがんばっている女医の方は多いことがグラフからわかる。また、最近の医学部定員の増員、医学部そのものの新設などを通して、需給バランスは今後取れていく可能性が高い。逆に合格者の男女比の問題はある程度まで大学側のポリシーだとして、米国のQuotaを参考に今後オープンに議論されて収斂させていくべきではないだろうか?