HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

都市の進化

「進化は万能である」が面白い。都市機能の進化がいかにべき乗則的、スケーリング則に従っているかを書いている。

進化は万能である──人類・テクノロジー・宇宙の未来 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

進化は万能である──人類・テクノロジー・宇宙の未来 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)

お叱りを受けかねないが、該当のページをGoogle DocumentでOCRした。ちなみに、すごい精度!" "だけ余計に入っていたので、検索と置き換えで省いたのと、最初の行の「スケーリング」、最後の行の「イノベーション」が間違っていた。それだけしか修正していない。

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「スケーリング則」、つまり規模の変化に伴う特徴の変化だ。たとえば、ガソリンスタンドの数はその町の人口を一貫して下回る割合で増えていく。規模の経済が存在し、このパターンは世界のどこでも同じだ。これは電力網にも当てはまる。国家の政策や、自治体の首長が誰であるかは関係ない。都市はそれがどこにあろうと同じ成長パターンをたどるのだ。この点において、都市は生物の体に似ている。マウスは単位体重当たりの消費エネルギーがゾウより大きく、小さな都市は単位面積当たりの自動車燃料消費が大きな都市より多い。都市と同じように、生物の体は成長するにつれてエネルギー代謝率が上がる。また都市の人口が倍加するごとに、一人当たりのインプラコストは一貫して一五パーセント減る。これと反対の傾向を見せるのが経済成長とイノベーションだ。都市が巨大化すればするほど、これらの現象は活発になる。都市の大きさが倍になると、その場所がどこであるかにかかわらず、賃金、富、特許の数、大学の数、創造的営為に携わる人間の数がどれも約一五パーセント増える。このレベルの増加率は、専門用語で「スーパーリニア」と呼ばれるスケールになる。この現象を発見したサンタフェ研究所のジェフリー・ウェストは、都市を「スーパークリエイティブ」と形容した。都市が生み出すイノベーションはその規模に関して収穫通増を示す。都市が大きければ大きいほど、より多くのイノベーションが生まれるのだ。そうなる理由は基本的には明らかだ。人間はアイデアを組み合わせ、さらに組み合わせ直してイノベーションを生み出す。ネットワーが大きく高密度であればあるほど、より多くのイノベーションが生まれる。そしてこれも政策の結果ではない。

都市の規模がべき乗則に従うことは理解していたい。

hpo.hatenablog.com

土地の価格形成について、山口さんがコメントしてくださっていたが、やはり人口の密集度合いと地価とは関係が深い。経済的価値、土地の収益性でいあば、圧倒的な差がつきつつあるとういことだ。以前、「べき乗則」が当てはまるケースの推測される条件をあげたが、「ネットワーク」とい「レイヤー」という条件があるように感じる。街の場合に「レイヤー」の概念を、模擬的にあてはめれば、人口の集積が土地の収益性に影響し、土地の収益性が土地の利便性、魅力につながる。土地の魅力は、人口に影響する。そして、人口が...といった具合に永遠に影響の輪がきれない状態になる。ほんとうはそのまま連続している過程なのだが、人口、収益性、魅力といったレベルで便宜的にきればレイヤーが見えてくる。

べき乗則と首都圏経済白書: HPO:個人的な意見 ココログ版

だが、地価に注目するあまり、経済規模、成長と都市のスケーリング則を結びつけてはいなかった。

いやいや、この本は実に面白い。マット・リドレーと私の興味範囲は非常に重なる気がしている。