HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

戦争と山火事

「痛快!憲法学」を読んでいて、ヒットラーの台頭が第一次世界大戦の後の欧州各国の厭戦、平和主義が背景にあったと知った。これは、小さな山火事を消さないと大きな山火事につながるべき分布なんだなと気づいた。

痛快!憲法学―Amazing study of constitutions & democracy

痛快!憲法学―Amazing study of constitutions & democracy

ナチスは1936年にラインラントに進駐する。そして、「無血」のうちに領土を取り戻した。
さらに続くミュンヘン会談で、「交渉だけで」ズデーテンラントを手に入れる。
本来なら、戦勝国のイギリスやフランスが強気に出ればこんなことにはならなかったのだが、ここでもまた「平和主義者」が邪魔をした。
ヨーロッパの平和主義者は戦争よりも平和を選び、極めて平和的にナチスドイツに領土を差し出した。
ヒトラーソ連からヨーロッパの平和を守ると演説したのも効いた。
そして、これを見てさらに盛り上がったのがドイツ国内の平和主義者である。
ここまで来てしまえば、ヒトラーはどこからどう見ても平和の権化である。

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まあ、一応、山火事とべき分布のエントリーを書いた時からそれらしいことは書いてた。

森林火災を抑えようとすればするほど可燃物が森林の間で増え、かつ森林と森林のつながりが密になり、超巨大火災が起こりやすい状態になるのだそうだ。


べき分布の特徴として、べき分布するさまざまな現象においてその本質的な特徴だけが問題であり、枝葉末節には左右されないことが詳細に本書で述べられている。結果として、森林火災を新型インフルエンザと置き換えても、金融危機と置き換えても同じだということになる。つまりは、適切な(規模でたくさんの)危機がないと超巨大な危機が訪れる可能性が高くなるのだということだ。

米人はべき乗則に気づいて山火事を消すのをやめた - HPO機密日誌

この後に、次のエントリーへのリンクを張った。

どんな条件が揃うと紛争が起こり、それが大規模な戦争になるのか小規模な小競り合いになるのかが分かるとのこと。英テレグラフ紙の27日づけの記事 "Scientists find 'law of war' that predicts attacks"

近年の大小さまざまな紛争のデータを分析しても、正規分布にはならない。では全くもって混沌としているかと言うと、そんなことはなく、べき乗則で記述できる。ということらしいです。

壊れる前に…: 戦争と平和の方程式

山火事も、戦争もべき分布する。これは恐ろしい。先日、他国の内乱へ手を出すなというエントリーがあったが、「山火事は消さない」原則で言えば全くただしいことになる。「人道的」行動が実は、大きな戦争の下準備をしていることになる。また、「小さな」紛争も、「消さない」原則で対応する方が大きな紛争につながらない対応となる。

平和主義を貫こうと、戦争をさけようとすればするほど、将来の大きな戦争の原因を作っている可能性がある。べき分布だけど。日本も、この「戦争の法則」、"law of war"の呪縛から逃れることはできない。九条を盾に戦わない国にしようとすればするほど、将来の巨大な戦争を招いている可能性がある。強くでるべきときは出、引くときは引く。当たり前のことだが、大事。