苫米地氏の話しを真面目に受け止める私がおろかだというだけなのだが。
- 作者: 苫米地英人
- 出版社/メーカー: フォレスト出版
- 発売日: 2015/04/22
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書34ページにこうあります。
ハーバード大学の政治学者ジョゼフ・ナイ氏は、外交問題評議会が発行する雑誌「フォーリン・アフェアーズ」2010年11月・12月号に、「アメリカンパワーの未来」という論文を発表しています。
それは、世界の覇権をどう握りつづけるかという戦略論なのですが、そこにはこう記されています。
「(アメリカは)アジアの緊張を高め、日本は中国の脅威を煽る反中ナショナリズムによってアメリカの計画に埋め込まれ、そのようにコントロールされるだろう」
取り寄せてみた。
フォーリン・アフェアーズ・リポート2010年12月10日発売号
- 作者: ジョセフ・ナイ,イアン・ブレマー,エリック・シュミット(google CEO),リチャード・アーミテージ,他,フォーリン・アフェアーズ・ジャパン,Foreign Affairs Japan
- 出版社/メーカー: フォーリン・アフェアーズ・ジャパン
- 発売日: 2010/12/10
- メディア: 雑誌
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日本文は結構きちんと、英文は斜めに読んでみた。
そんなことどこにも書いてない!むしろ、アメリカの「リアリスト」と呼ばれた力による外交、世界戦略を批判し、アメリカはこれからソフトパワー戦略をきちんととるべきだと。先日のトインビーの批判に呼応するような内容。
ところが、1950年代以降のアメリカはアジア各地、あるいはアフガニスタンにおいても、現地とまじわらず、買い物すら米国本土から持っていた製品をPXで買うだけだと。アメリカの「防衛」のために帝国主義になりはてていると。実におごりに満ちた態度でいると。このままでは、各国民から自由を勝ち取った国だとみられていたアメリカが、「失われた自由の国」となってしまうと。アメリカ「帝国」である限り、マーシャルプランなどさまざまな「施し」を発展途上国への支援として与えても、帝国主義だとアメリカへの信認が失われ、世界中で敵ばかりになるだろうと警鐘をならしている。
"The Answer to 1984 is 1776" - HPO機密日誌
ナイ論文には日本についてこう書いてある。
(ソフトパワーという)スマートな戦略をとれば、アメリカはそうしたネットワークや同盟関係から恩恵を引き出せる立場にある。
日本が中国の台頭を懸念していることを考えれば、日本は独立を維持していくために中国と同盟関係を結ぶよりも、アメリカの支援を模索する可能性が高い。これいよって、アメリカの立場は強化される。アメリカが日本に対して馬鹿な行動をとらなければ、東アジア諸国が中国と同盟を結んで、中国がアメリカにとってかわるような事態にはならない。
もうひとつ。
(前略)日本は国連加盟国の中で唯一、戦争を起こす権利を持っていない国です。
なぜかといえば、国連憲章に敵国条項が残っているからです。
そして、国連の敵国条項が日本国憲法の前文、9条と呼応していると書いていらっしゃる。
敵国条項は依然、国連憲章上から削除に至っていないが、第53条、第107条は、敵国の全てが国際連合に加盟している現状では、国連憲章制定時と状況が大きく変化したため、事実上死文化した条項と考えられている[17][18]。一方で1989年の日ソ平和条約締結交渉において、ソ連側が北方領土領有の根拠として第107条を上げたこともあり[7]、影響は皆無でないという指摘がある。
敵国条項 - Wikipedia
国連憲章第五十三条、第百七条(以下、旧敵国条項)は、旧敵国の全てが国際連合に加盟して半世紀が経過した現在、一般的には、事実上死文化した条項と認識されているとされる。
国連憲章の旧敵国条項(第五十三条、第百七条)に関する質問主意書
むしろ、陰謀論をあおり、いろいろな状況を過剰に捉え反応してきて国際関係の「リアリスト」達の片言隻語に乗ることの方がはるかに危険だと思う。