しばらく前から4月の昇給について悩んでいた。
確かに、消費税と賃上げを結びつけるのは、使用者、経営者側として禁句なのだろう。消費税があがるたびに賃金をあげることを認めていては、労組との交渉はできない。そもそも、給与の全てが支出にまわる訳でもない。家賃、ローンなど消費税対象外の支出もある。普通勤続年数があがることによる定昇、定期昇給がだいたい1%前半。それやこれや考えると、大雑把にいって定昇とベースアップ等によって2%代にのって始めて購買力の維持と言えるのではないか?
ごくごく個人的な見聞の中だが、大企業、金融機関はそこまで踏み込めていない印象を持った。トヨタが典型だがテーブルの改訂、いわゆるベースアップは行わなかった。地銀も労働組合からベースアップの要求すら出なかったとも。さすがに都銀はベースアップを行ったようだが、マイルドだという印象を持った。上場企業で消費税と追いつかんばかりに昇給したのは、ゼネコン業界くらいのようだ。
トヨタ自動車労働組合は定期昇給に相当する賃金制度維持分として7300円、年間一時金は基準内賃金5カ月プラス7万円を要求していた。ベースアップ(ベア)にあたる賃金制度改善分の要求は昨年に続き、今年も見送っていた。
トヨタ:定期昇給分7300円、ボーナス181万円とも満額回答-春闘 - Bloomberg
ということは、大企業の社員の家計においてすら、この4月で実質購買力が下がったのではないか?しかし、アベノミクスは賃上げまでつながって初めてマイルドなインフレーション期待が醸し出せる。
アベノミクスというシャンパンタワーの上の方に位置する方々がお腹いっぱいになってくれば、1、2年の内には下々の企業まで恩恵が行き渡ってくるかもしれないが、コストアップが継続し、消費税があがれば、中小、零細企業はかなり厳しい状況に直面するのではないだろうか?場合によっては、地方からはいくつかの産業が消えるかもしれない。
アベノミクスの負の側面 - HPO機密日誌
そもそも、中小企業は本来ベースアップするだけの体力がない。それでも、人財を確保していく上では消費税に追いつけるくらいの昇給をしないと、人を呼び止めておけない。それが実態。
いったい、アベノミクス、安倍首相は、昇給に本気だろうか?繰り返すが、シャンパンタワーの上位に位置する、ということは巨大な商流を握っている大企業が昇給に本気にならないと、その下の下に位置する中小企業までアベノミクス効果はまわって来ない。中小まで来ないとマイルドなインフレ期待はこれ以上伸びないだろう。
目先の自分の悩みと、アベノミクスを結びつけるのは見当はずれかもしれないが、ここのところ頭から離れない。