著者のものの言い方が一歩間違えれば確かにインテリジェント・デザイン(ID)論になりかねないとはらはらしながら読み進めている。
- 作者: エイドリアン・ベジャン,J.ペダー・ゼイン,柴田裕之
- 出版社/メーカー: 紀伊國屋書店
- 発売日: 2013/08/22
- メディア: 単行本
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無生物であっても流れのシステムが常によりよいデザインに向かうという考え方は非常に理解しづらい。システムの流れの力の時間単位と、かたちとして見える時間単位が違うということはひとつの鍵ではないだろうか?例えば河川のシステム。
[parity] 2013.10 contents
縦にするだけで木々の幹と枝に見える。この形が形成されるために水と土は常にながれつづけている。いつも使っているベキ分布ちっくなグラフをさかさにするとイメージがうかぶ。このグラフは繰り返し囚人ゲーム、ライフゲームをエクセルでシミュレーションしたものであり、常に各セルの値が相互に「取引」しあっている一時点をグラフにしたものであることに留意されたい。
繰り返し囚人のジレンマゲームと道徳感情とべき乗則 - HPO:機密日誌
水が流れる大きな力と、土が常に削られ、溜まり、入れ替わる小さな力が均衡していく。乱流が起こることがあっても、長い時間で考えれば効率よく水が流れるかたち以外は破綻してしまうので、結果残るのは常によりよいデザインしかない。
以前、お城の構造のあまりの見事さに感激した。しかし、よくよく考えてみれば今残っているお城はすべて歴史の挑戦に耐えて来た構造体だけなのだ。他にもたくさんのお城が戦国時代にあったはずなのだ。もちろん、当時の名工が知恵と力を尽くして作ったにせよ、構造的に均衡の取れていない城はどれも残って来ない。
コンストラクタルなデザインという時、逆に残らないかたちを考えるべきなのかもしれない。よくよく読み進めながら考えていく。いずれにせよ、コンストラクタルとべき乗則、渡辺慧先生のおっしゃるような時の概念は深く結びついていると考える。