HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

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「アメリカは日本経済の復活を知っている」読了。終章からあとがきが圧巻だった。最初に読めば良かったのかもしれない。本書は経済政策をめぐる社会学の書であり、浜田先生の救国の思いが凝縮している。良書。

アメリカは日本経済の復活を知っている

アメリカは日本経済の復活を知っている

本書の経済学、経済政策としての見解は終章に収められたパネルディスカッションのシェアード博士の意見に集約されるのだろう。

シェアード  浜田さんの指摘のように、日本のマクロ経済の驚くべき現状は、それが長期的なデフレの状態を続けているということです。これは日本のように変動相場制のもとにあって、独立性を持った中央銀行を有する国では起こり得ないと考えられていることです。
日本のGDPデフレーターは、その最大値から十八パーセント下落しています。同じ時期に、アメリカのGDPデフレーターは四十パーセント上昇しているのです。
日銀は、日本のデフレは積極性が不充分な金融政策よるものではなく、実質経済が要因だといっています。特に現在と将来の潜在成長率を低めている人口構成の変化によるものが大きい、と。したかって、デフレを克服するには政府と産業がデフレを止めなければならないというのです。
浜田さん、これをどう思いますか?

浜田 人口減少は、理論的には、インフレ要因となってもデフレ要因にはなりません。日銀は自分の責任逃れになる理屈は何でも使いたがるのです。

ちなみに、このポール・シェアードさんは日本に相当にお詳しい方。

職 歴:
1986年 4月 オーストラリア国立大学豪日研究センター研究員
1988年 7月 オーストラリア国立大学経済経営学部経済学科講師
1993年 7月 大阪大学経済学部国際協調寄付講座助教
1995年 1月 ベアリング投信株式会社 日本株ストラテジスト
1997年 9月 同社 日本株運用本部ヘッド
2000年 9月 リーマン・ブラザーズ証券会社
マネージング・ディレクター、チーフ エコノミスト・アジア(現任)

2003年 6月 オリックス株式会社 社外取締役(現任)

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