HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「亡き女のためのパヴァーヌ」

人は死んで完成品になるのだそうだ。

生きているうちは、右に行ったり、左に行ったり、とまどい、ゆれて、さまよいつづける。真剣だったり、ふざけていたり、無駄なことばかり。

死んでしまえば、その人の本質がなにであったか初めて確実に言える。もうさまようことはないから。生きていたら、期待を裏切ることもあるかもしれないが、死んでしまえば、その言説はもう動かない。逆算的に「あの人はこういう人だった」と確実に言える。

でも、死んでしまえばもう愛せない。愛されることもない。生きていてこそなんぼだ。