HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

伊坂幸太郎の「死神の精度」

「死神の精度」は、人にもらって伊坂幸太郎についてなんの予備知識もないまま読み始めた。せいぜい見開きにあった千葉生まれ*1だということくらいだ。

死神の精度 (文春文庫)

死神の精度 (文春文庫)

達者な方だと思った。短編六作はそれぞれに個性があり、ミステリー風、任侠風、ロードムービー風などと書き分けられていた。

あまり達者すぎる書き手の作品はどこか深みに欠けるものだ。この「死神の精度」を読んでいても、最初はそう感じた。技巧に走りすぎていると。

読了したいま、人は死を目の前にして本質が現れるのかもしれないと感じた。人が死ぬときには、あまりにあたりまえだが余韻がある。


そうそう、他の感覚はほとんどないくせに、死神たちが「ミュージック」大好きだというのがなんとなくわかる。私もひまさえあれば「シネマ」を見てしまう口だから。どんな映画でも、見れてれば楽しい。なぜだろう。

*1:千葉に関係する小説家って結構いる。菊地秀行は銚子出身、福井晴敏は千葉商科大、海堂尊はもろに千葉出身。なかなか心強い限りだ。