生まれて初めてジュンク堂に行って感激した。
こんなに大型図書館みたいな本屋さんが21世紀の今日に存在しているということに、こころから感謝したい。
中でも、べき乗則、フラクタル、認知科学が一カ所でこれだけコレクションされているのを初めて見た。この棚に私がアカデミックで関わったこととその延長にあるすべてが網羅されている。すばらしい。
で、思わず買ってしまったのが「数覚とはか何か?」。
- 作者: スタニスラスドゥアンヌ,Stanislas Dehaene,長谷川眞理子,小林哲生
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/07
- メディア: 単行本
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人が数の概念をあつかえることほど不思議はない。一個の存在の認識そのものをかけてようやく足し算が可能なくらい不可思議なネットワーク構造の挙動をしているに違いない。*2
本エントリーとしては、本書を読み始めたことを宣言するだけで十分なのだが、数ページ読んだだけでもうのっけから報われた。ちょっと長いが引用させていただく。
私たちの脳の基本的な構造が、算数の理解に強い限界を強いているのだとしたら、数学がよくできる子どもたちがいるのはなぜなのだろう?ガウス、アインシュタイン、ラマヌジャンのような優れた数学者は、どうやって数学的対象に対するあれほどの親密さを獲得したのだろうか?そして、知能指数が50くらいのサヴァン症候群の人たちの中には、なぜ、暗算の達人になれる人がいるのだろうか?ある人々は、天才になるべく、特別な脳構造や生物学的傾向を持って生まれてきたと考えるべきなのだろうか?この考えを詳しく検討してみると、それはありそうにないことがわかるろう。(中略)
彼らがそれに成功するのは、彼らがその問題に大変な時間を投入したからで、その結果、研ぎすまされたアルゴリズムや賢い近道にたどりつくのだが、それは、私たちだって試してみれば習うことができるものであり、この脳の持つつよいところを活用し、限界を回避するよう、うまく作られたものであることがわかる。彼らに特別なのは、数や数学に対するとてつもない、絶え間ない情熱である。
論語の「これを知る者はこれを好む者に如かず、これを好む者はこれを楽しむ者に如かず」ということだ。これだけ可塑性の高い脳という構造物を飼いならすのは、いかに自分が最大限の情熱を傾けられることをやり続けるかにつきる。
*1:はてなの写真は勝手に縮小されてしまうのでタイトルはおろか、書画も認識できなさそげ。こっちのがちょっとまし。 http://bit.ly/aIBJOB やっぱり、実地で池袋ジュンク堂さんの七階に行ってもらうのが一番か。
*2:人の認識構造って基本動くものや、ひとつのものを個別のものして認識するようにできていると思う。そのものそのものを概念としてとらえ、すべての個性を捨象して「ひとつ」としてしまうのは、脳の構造の一番いいところを捨てているようなものだと私は思っている。