西岡常一さんの言葉はひとつひとつ重い。経験から出た知恵が、実際の現場での歴史の実証を経ている熟成を感じる。
- 作者: 西岡常一,小川三夫,塩野米松
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2005/07/28
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 77回
- この商品を含むブログ (62件) を見る
自然石の上に立てられた柱の底は方向がまちまちです。地震が来て揺すられても力のかかり方が違いますわ。それとなによりボルトのようなもので固定されていませんわな。ですから地震が来ましたら揺れますし、いくらか柱がずれるでしょうな。しかし、すぐに戻りますな。こうしてそれぞれが違った「遊び」のある動きが地震の揺れを吸収するんですわ。
そりゃ計算は立ちませんやろ。こう来たらこない動くということが全部がわかるわけやないんですから。気の強さも全部違いますし、石の振動も違いますからな。それでもこの方法がいいということは法隆寺の建物が証明してくれてますな。
これは実際等身大実験でもこの言葉のとおりのことが実証されている。
もっといえば、これだけ世間を騒がせた構造計算だが、様々な仮定に基づいてなされている。地震をX方向、Y方向に分けることもそうだ。実は世間が期待しているほど、構造設計、構造計算の精度が高いのかどうか、構造設計に携わる方々であればよくわかるはずだ。