HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

女がセックスをもとめるとき

男がどのようなときにセックスをしたくなるのかは身をもって知っている。女はどのようなときに男とセックスをしたくなるのだろうか?男とは違う衝動であるとは思う。

上海を舞台とするこの物語には、もう若くはない女のゆれうごくこころがつまっている。

甘苦上海〈1〉夏から秋へ

甘苦上海〈1〉夏から秋へ

そもそも、最初のシーンから女が男にお金でセックスを求めるところから始まる。あるいは、たとえば年下の男、京の言動に嫉妬心を刺激される紅子が感じる衝動なのだろうか?

別れた女がおいて行った猫を膝に京がピアノを弾く。

京の横顔は必死で固く、唇が濡れている。目をそらして、再度見ると、頬も濡れている。

わたしの中に、嫉妬が起きる。やりきれない、絞るような感情が持ち上がる。そうだこれは、しばらくわすれていた、ここ何十年もどこかに置き忘れていた、切なさ。どうにもならない、やるせなさ。

逢瀬は禁忌があるときに燃える。ああ、この男は他の女の男だとからだで感じれば感じるほど、男が欲しくなるのが女のセックスへの衝動ではないだろうか。

私にはわからない。


上海という混沌とした街の恋愛はなまなましい。実際に訪れたときには、この猥雑さ、淫らさはつたわってこなかったのが不思議だ。

上海ベイビー (文春文庫)

上海ベイビー (文春文庫)

原著が1999年の小説とは言え、どこか危険な魅力を漂わせる”上海”という国に惹かれ、その「今」を描いてる部分を期待させる

Amazon.co.jp: カスタマーレビュー: 上海ベイビー (文春文庫)