HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

共有地と繰り返しゲーム、あるいは、ノーベル経済学賞に物申す

経済学はまったくわからないが、いまさらって感じがした。

オストロームは、漁業資源や牧草地、森林資源、湖沼、地下水といった各種資源を管理する利用組合の実証研究を通じて、共有資源利用の実態は大抵の場合において伝統的な理論が予測するよりも良好であるという結論を下しました。

2009-10-12 - Irregular Economist 〜hicksianの経済学学習帳〜

ちょうど読んでいた本に、繰り返しゲームでは協調がうまれざるを得ないとあった。人を「アトム」としてとらえコンピューターを分析方法として紹介している。読んでいた本とは、「人は原子、世界は物理法則で動く」だ。

人は原子、世界は物理法則で動く―社会物理学で読み解く人間行動

人は原子、世界は物理法則で動く―社会物理学で読み解く人間行動

実験経済学とかいうのだろうか、互いに協力しあえば報酬を増やすことができるゲームを紹介している。10回も行ううちにかならず貪欲な裏切り者が現れて全体の利益を増やす協力関係は途絶えてしまう。ただし、罰金を貸し、ずるをしたものへの応酬ができるようになると協調関係が繰り返しゲームでも継続するのだという。

これを拡張して、コンピューターシミュレーションを紹介している。

彼ら(マサチューセッツ大学ハーバート・ギンティス、UCLAのロバート・ボイドら)は初期の狩猟採集民の集団内部、および集団間のいずれにおいてもい圧倒的に見られたと思われる自然発生的な競争を調べるために、広範なコンピューター・シミュレーションを行った。(中略)集団内部では、各人は互いに食料や交配相手をめぐって争っていることである。(中略)だが、もう一つの過程が正反対の方向に作用する。集団間の争いでは、一般的には、成員どうしが強調的な関係にあるほど事をうまく運ぶことができる。

つまりは、共有地の問題から、繰り返しゲームという流れの先に、「友と敵」理論があることになる。

そして、そのまた先に、人をアトム(原子)ととらえた上で、自己組織化臨界現象の状態でのシミュレーションと考察から、ボスニア民族浄化や、ルワンダの悲劇を説明できるというのが、本書の流れだ。

旧来の経済学とは一味違う。旧式の学問的な業績にいまさらノーベル賞?いや、ちがったスウェーデン銀行賞だったか。


■参照

Elinor Ostromというのは、いわゆる「コモンズ」の実証研究をやっただけで、その結果は繰り返しゲーム(フォーク定理)で簡単に説明できるのに、独自の変なゲーム理論で説明しようとするため、わけがわからない。

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■平衡と非平衡

一回きりのゲームは平衡。繰り返しゲームは非平衡。経済学が向かうべきは非平衡状態の経済学。こういう理解をしている。