HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

金融恐慌がはじまったのも、一応回避されたのも世界がひとつになりつつあるからと思うのはあまりにナイーブ

日経平均が大幅にあがるなど、まだ足元があやういながら大恐慌への転落はとりあえずは回避された。

どうやって回避されたのか?先週、日銀総裁が「我々はいろいろなレベルで対話している」と発言されていたことの持つ意味は大きいと思う。

高安秀樹さんが数年前に出された「経済物理学」の中で「24時間連続して動いている経済指標」として為替レートを研究された報告がなされていた。いろいろな考察はあったが、一番大切なのは「参加者が多いほど市場が荒れる(ボラティリティが増す)」という一点ではないだろうか?

間違いなく、この数年で世界中の市場の「つながり」のレベルがあがった。間違いなく各国の経済における貿易の占める割合は増している。日本のGDPの構成割合を調べてみる。国内の需要の落ち込みを貿易が救っている。中国はいくら内需が増えたとはいえ、資金も付加価値も海外からもちこまれたことで救われている。資金についても私たちが思うよりももっと「投資銀行」がからんだリスクのある投資資金が世界をかけめぐっている。私たちが目にする施設やビルや事業などで世界をかけめぐる資金が入っていないほうが現代では少ない。あなたのマンションの一部に外資が入っていることはごく普通のことだし、地方都市のオフィスビルにいたるまで以前は生保が持っていたビルが信託が設定されて聞いたこともない海外の住所に受託権が設定されているケースもある。

あまりに紋切り型の表現であるが、東京の市場であろうと、ニューヨークの市場であろうと、ロンドンであろうと、これほどまでに世界が一体化していることはなかった。世界がつながればつながるほどブラックスワンべき分布的な危機が発生する可能性が増す。実証的には、高安秀樹さんの研究をぐぐってみろと。

逆に1929年に戻って考えてみる。当時は、各国がブロック経済を選択することで、唯一の利益逓増、危機回避の手段を自ら封じてしまった。ブロック経済は、お互いに疑心暗鬼につながり、自分の窮状をほかの国のせいとし、力でのみ他国と関係することができると信じ、銃をとり戦い始めた。

金融危機という起こったことに対して共同して戦う人々がいたことが今回の救いだ。そして、それは生じた原因と同じく世界がひとつになっていただめに、共通の統計、共通の認識、お互いへの信頼、そしてその実証可能性があったがために、世界は救われた。まだ、ひとつも安心できる状態ではないし、金融危機がいったん遠ざかったために逆に日本では国内の諸問題がより以上に取りざたされるであろう。しかし、私はこの残酷な神が支配する世界で始めて人の叡智を信じる気になっている。

今回の金融危機の回避に尽力されたすべての方に感謝したい。

どれだけリスクと背中あわせであっても、私はまだ日本が今後政策転換をし、最大のビジネスチャンスをつかむものと信じていいる。


■でしょでしょでしょ!?

私の意見には賛成いただけないとは思うのだけれど、ここはほんとうに大事なポイントだと思う。

特に世界中の経済の情報がネットでほぼフォローできてしまうのがすごい。これはもちろん20年代、30年代のひとたちが物凄いコストをかけなければ実現できなかったことを瞬時にやってしまっていることでもありますよね。

2008-10-15

ちなみに、いまコレ読んでる。非常に面白い。