すごい。
- 作者: 郷原信郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2007/01/16
- メディア: 新書
- 購入: 10人 クリック: 210回
- この商品を含むブログ (99件) を見る
このように法令やその運用と経済実態との乖離が一層深刻な状況になっている背景には、国家公務員倫理法などの影響で、法令の作成や執行を行う官庁の公務員と民間人との接触が少なくなり、官庁側の認識が経済社会の実情とズレてしまっているという現実があります。
半ばまで読んだが私がこの世の中を理解できている限り郷原先生の主張は正しいと思う。
今「エグザクソン」の大人買いをやめて本書を10冊アマゾンへ発注した。関係者に配るつもり。
読了した。
実務と理論(目的を正しく見抜く力)の両方ができる稀有な方だとお見受けした。「フルセット・コンプライアンス」という考え方は組織を導く上で正しいのだと感じる。
まず第一に、社会的要請を的確に把握し、その要請に応えていくための組織としての方針を具体的に明らかにすること。第二に、その方針に従いバランスよく応えていくための組織体制を構築すること。第三に、組織全体を方針実現に向けて機能させていくこと。第四に、方針違反する行為が行われた事実が明らかになったりその疑いが生じたりしたときに、原因を究明して再発を防止すること。そして第五に、法令と実態とが乖離しやすい日本で必要なのが、一つの組織だけで社会的要請に応えようとしても困難な事情、つまり組織が活動する環境自体に問題がある場合、そのような環境を改めていくことです。
組織とは、それを取り囲む方々から必要とされてはじめて永続できる。その組織の必要性を「社会的要請」と呼ぶならば、組織の「社会的要請」を共有し、その意義に目覚めた構成員でできているとき最強の組織となる。問題は第五の部分であろう。環境も変われば、構成員も変わっていく中で、常に組織には改革が必要となる。ところが、誰でもが改革できるわけではない。
本書が対象とする問題を列挙してみる。
- 談合問題と独占禁止法の目的
- ライブドア事件、村上ファンド事件とインサイダー取引の意味
- 耐震強度偽装事件と「法の失敗」
- 不正車検事件と法令遵守要請
- パロマ事件とベストプラクティス
- 脱線事件と個人情報保護法
- メディアスクラムと効率的な「善玉、悪玉」論
正直に言ってまだ生半かな理解にすぎないのだが、検察の現場にいた著者が感じるほど、現代の日本において法令とその目指した目的とが乖離しはてているということは、組織をますますぎすぎすしたものにし、「社会的要請」を満たすという目的からますます遠ざけてしまうであろう。
あるお役人さんの仕事振りを見る機会が先日会った。仕事で付き合っている間中一番聞いた単語は「会計監査院」であったろう。いかに会計監査でつじつまのあう書類をそろえるかが、彼の関心のほとんどすべてであったといっても彼自身は違和感を持たないだろうと思う。彼の仕事の目的だるある「社会的要請」については一言も彼から聞いた記憶はない。
別な言葉で言えば、これかなぁ。
考えてみれば組織のあり方は本当に根本からかわりつつある。報酬よりもやりがいを優先させるとか、ITとネットの影響で自分で仕事のスタイルを作り上げなければならない時代の到来とか、お役所には全く届いていないように思える。結果、お役所がメンタルヘルスの問題を抱えることになり、年収とかフリンジベネフィット的なものにしか報酬がないわびしい状況に陥っている。
お役所にこそEQを! - HPO:機密日誌
誰だったかの外国人記者の著書の名前を思い出す。
- 作者: カレル・ヴァンウォルフレン,Karel Van Wolferen,篠原勝
- 出版社/メーカー: 毎日新聞社
- 発売日: 1994/11/01
- メディア: 単行本
- 購入: 5人 クリック: 37回
- この商品を含むブログ (38件) を見る
■参照
・世界最後の社会主義国家? 野口悠紀雄の『戦時体制未だに終わらず:史上かつてない平等社会』という欺瞞。 by ももちさん
深刻なのはこうした過剰コンプライアンスが、政府が「もはや一流ではない」と宣告した日本経済を三流、四流に転落させることだ。
指定されたページがみつかりませんでした - goo ブログ