HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

エッセンシャル版マネジメント 「もしドラ」引用箇所 ぬきがき その3

ほんとうはコメントつけたのだが、白々しいのでやめる。もうすこし、自分の方に引きつけて、いつか書きたい。

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

マネジメント[エッセンシャル版] - 基本と原則

129頁
マネジャーの資質

人を管理する能力、議長役や面接の能力は学ぶことができる。管理体制、昇進制度、報奨制度を通じて人材開発に有効な方策を講ずることもできる。だがそれだけでは十分ではない。根本的な資質が必要である。真摯さである。

(中略)

マネジャーの仕事は、体系的な分析の対象となる。マネジャーにできなければならないことは、そのほとんどが教わらなくとも学ぶことができる。しかし、学ぶことのできない資質、後天的に獲得することのできない資質、始めから身につけていなければならない資質が、一つだけある。才能ではない。真摯さである。

22頁

あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向付け、努力を実現するには「われわれの事業は何か。何であるべきか」を定義することが不可欠である。

自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないと思われるかもしれない。鉄鋼会社は鉄をつくり、鉄道会社は貨物と旅客を運び、保険会社は火災の危険を引き受け、銀行は金を貸す。しかし実際には、「われわれの事業は何か」との問いは、ほとんどの場合、答えることが難しい問題である。わかりきった答えが正しいことはほとんどない。

企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようという欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって、「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。

17頁

これまでマーケティングは、販売に関係する全職能の遂行を意味するに過ぎなかった。それではまだ販売である。われわれの製品からスタートしている。われわれの市場を探している。これに対し真のマーケティングは顧客からスタートする。すなわち現実、欲求、価値からスタートする。「われわれは何を売りたいか」ではなく、「顧客は何を買いたいか」を問う。「われわれの製品やサービスにできることはこれとこれである」ではなく、「顧客が価値ありとし、必要とし、求めている満足がこれである」と言う。

57頁
マネジメントは、生産的な仕事を通じて、働く人たちに成果を上げさせなければならない。

73頁
焦点は仕事に合わせなければならない。仕事が可能でなければならない。仕事がすべてではないが、仕事がまず第一である。

74頁
働きがいを与えるには、仕事そのものに責任を持たせなければならない。そのためには、1.生産的な仕事、2.フィードバック情報、3.継続学習が不可欠である。

262頁
成長には準備が必要である。いつ機会が訪れるかは予測できない。準備しておかなければならない。準備ができていなければ、機会は去り、他所へ行く。

16頁

企業の第一の機能としてのマーケティングは、今日あまりに多くの企業で行われていない。言葉だけに終わっている。

消費者運動がこのことを示している。消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。(以下略)

62頁
仕事を生産的なものにするには、四つのものが必要である。すなわち、
1.分析である。仕事に必要な作業と手順と道具を知らなければならない。
2.総合である。作業を集めプロセスとして編成しなければならない。
3.管理である。仕事のプロセスの中に、方向付け、質と量、基準と例外についての管理手段を組み込まなければならない。
4.道具である。

140頁
自己目標管理の最大の利点は、自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることにある。自己管理は強い動機づけをもたらす。適当にこなすのではなく、最善を尽くす願望を起こさせる。したがって自己目標管理は、たとえマネジメント全体の方向づけを図り活動の統一性を実現する上では必要ないとしても、自己管理を可能とするうえで必要とされる。

266頁
イノベーションとは、科学や技術そのものではなく価値である。組織の中ではなく、組織の外にもたらす変化である。イノベーションの尺度は、外の世界への影響である。

マネジメントには、自らの組織をして社会に貢献させるうえで三つの役割がある。それら三つの役割は、異質ではあるが同じように重要である。
1.自らの組織に特有の使命を果たす。マネジメントは、組織に特有の使命、すなわちそれぞれの日常の目的を果たすために存在する。
2.仕事を通じて働く人たちを生かす。現代社会においては、組織こそ、一人ひとるの人間にとって、生計の資、社会的な地位、コミュニティとの絆を手にし、自己実現を図る手段である。当然、働く人を生かすことが重要な意味を持つ。
3.自らが社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題について貢献する。マネジメントには、自らの組織が社会に与える影響を処理するとともに、社会の問題の解決に貢献する役割がある。

275頁
そのような正当性の根拠は一つしかない。すなわち、人の強みを生産的なものにすることである。これが組織の目的である。したがって、マネジメントの権限の基盤となる正当性である。組織とは、個としての人間一人ひとりに対して、また社会を構成する一人ひとるの人間に対して、何らかの貢献を行わせ、自己実現させるための手段である。

145頁
あらゆる組織が、事なかれ主義の誘惑にさらされる。だが組織の健全さとは、高度の基準の要求である。自己管理目標が必要とされるのも、高度の基準が必要だからである。
成果とは何かを理解しなければならない。成果とは百発百中のことではない。百発百中は曲芸である。成果とは長期のものである。すなわち、まちがいや失敗をしない者を信用してはならないということである。それは、見せかけか、無難なこと、下らないことしか手をつけない者である。成果とは打率である。弱みがないことを評価してはならない。そのようなことでは、意欲を失わせ、士気を損なう。人は、優れているほど多くの間違いをおかす。優れているほど新しいことを試みる。

236頁
組織には、それ以下では存続できないという最小規模の限界が産業別、市場別にある。逆に、それを超えると、いかにマネジメントしようとも繁栄を続けられなくなるという最大規模の限度がある。

243頁
実は、規模についての最大の問題は組織の内部にあるのではない。マネジメントの限界にあるのでもない。最大の問題は地域社会に比較して大きすぎることにある。
地域社会との関係において行動の自由が制約されるために、事業上あるいはマネジメント上必要な意志決定がなされなくなったときに、規模が大きすぎると見るべきである。地域社会に対する懸念から、自らとその事業に害を与えることが明白なことを行わなければならなくなったときには、規模が大きすぎると見るべきである。

30頁
しかも急速に拡大しつつある市場、特に新しい市場においては、独占的な供給者の業績は、力のある競争相手がいる場合よりも劣ることが多い。矛盾と思われるかもしれない。事実、ほとんどの企業人がそのような考えをとっていない。しかし新市場、特に大きな新市場は、供給者が1社よりも複数である方が、はるかに早く拡大する傾向がある。

244頁
規模の不適切さは、トップマネジメントの直面する問題の内最も困難である。自然に解決される問題ではない。有機、真摯さ、熟慮、行動を必要とする。

147頁
真摯さを絶対視して、初めてまともな組織と言える。それはまず、人事に関わる決定において象徴的に表れる。真摯さは、とってつけるわけにはいかない。すでに身につけていなければならない。ごまかしがきかない。ともに働く者、特に部下に対しては、真摯であるかどうかは二、三週間で分かる。無知や無能、態度の悪さや頼りなさには、寛大たりうる。だが、真摯さの欠如は許さない。決して許さない。彼らはそのような者をマネジャーに選ぶことを許さない。

200頁
組織構造は、組織のなかの人間や組織単位の感心を、努力でなく成果にむけさせなければならない。成果こそ、すべての活動の目的である。専門家や能吏としてでなくマネジャーとして行動する者の数、管理の技能や専門的な能力によってでなく成果や業績によって評価される者の数をできるだけ増やさなければならない。
成果よりも努力が重要であり、職人的な技能それ自体が目的であるかのごとき錯覚を生んではならない。仕事のためではなく成果のために働き、贅肉ではなく力をつけ、過去ではなく未来のために働く能力と意欲を生み出さなければならない。

147頁
成果中心の精神を高く維持するには、配置、昇給、昇進、降級、解雇など人事に関わる意志決定こそ、最大の管理手段であることを認識する必要がある。それらの決定は、人間関係に対して数字や報告よりもはるかに影響を与える。組織のなかの人間に対して、マネジメントが本当に欲し、重視し、報いようとしているものが何であるかを知らせる。

明日は再び甲子園の「もしドラ」広告を見に行ってくる。