HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

夢の言葉、言葉の夢

島尾敏雄がなくなって20年近くたつらしい。「死の棘」の中には、私の住む地域の話もでてきたりする。いや、それよりももっと身近に感じる体験もあったりもする。

死の棘 (新潮文庫)

死の棘 (新潮文庫)

私の中で、島尾敏雄川又千秋の「夢の言葉、言葉の夢」は離れがたく結びついてしまっている。私にとって「夢の言葉、言葉の夢」は最も美しい評論集としていまも私の中に残っている。そして、本書のタイトルは、言葉そのものが紡ぐ夢の形、夢の言葉を意味している。いや、まあ、そのままなんだがね。

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なんというか、美しい言葉の表現というのは、もうリズムだの、語感だのといった根源的な部分にまでさかのぼるのではないかという予感がある。

至上の愛

至上の愛

そうそう、美しい言葉と言えばなによりもボリスだ。ボリス・ヴィアン。未読だが「北京の春」というタイトルだけで参ってしまう。「墓につばをはきかけろ」とか、胸に花が咲いてしまう話だとか、なんというか舞台裏のどんでんがえしの仕掛けが随所にある。ある意味、言葉のレトリックなのだ。言葉だけで成立している世界の美しさ。中毒性がある。

夢幻にただよう、言葉の美しさに酔う。