
- 作者: ユンチアン,Jung Chang,土屋京子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1998/02
- メディア: 文庫
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中国人の話しを読んでいると自分がはだかになったような気がする。なんというか、欲望も、性愛も、「自分さえよければ」という生き方も、あまりにあからさまなのだ。ここのところ、数冊の中国関連を読んで、私自身の中国での短い滞在での体験と通底するものがあるのを感じる。あえてここではそれがなにかを書かないが、その歴史的な深さに嘆息する。
逆にいうと日本人というのは、ある種のファンタジーというか仮定の中でのみ生息できるのということなのかもしれない。いわく、「人のためにしたことは自分に返ってくる。いや、無私であるべきなので、返ってくることすら期待してはいけない。」。いわく、「一筋の道を追求しつづければ、必ず達人の道に達する。」。いわく、「純粋無垢であることは価値のあることである」。これらは、仏教や禅がまだ日本の中でこだましているから、みながそう仮定を置けるのかもしれない。そして、それがいまの日本の生産性の高さの原動力のひとつであるような気がする。これらの「仮定」も今後民主化がすすめば、すすむほど消えていってしまうのだろうか?