HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

「新しい自然学―非線形科学の可能性 (双書 科学/技術のゆくえ)」を読む

P.6:科学の言葉で世界を描写するとはそもそもどういう営みなのだろうか

<<物理学は、我々の生活実感からはるかに離れた粒子の運動や、衛星について記述できのに、木がおれる断面、人間の認識、などについて記述する「言葉」をいまだに持たない>>

P.21:モノの同一不変性にもとづいたこのような世界把握の様式を以下では、主語的統一とよぶことにしよう。(中略)「赤い」という性質が一つの場所を作っていて、そこに夕陽やバラや炎が包み込まれるというイメージである。個物が互いにばらばらではなく、さまざまなつながりをもってこの世界を構成していることが知られるのはこのゆな見方、つまり述語的統一によっている。

時枝文法???

P.31:生命の生命らしさ、その多様性・全体性を損なわずに科学的記述を試みようとすれば、たとえば中村佳子の「生命誌」のように、近代科学の概念から相当に離れた歴史的・物語的な様相をも呈することになる。

P.34:要素と全体との関係は、ルールと具体的ゲーム展開との関係とは随分違うように思えようが、後者が前者に依存しながらも前者のみからでは説明されない何かを含んでいる、と言う点で共通している。その「何か」が創発性である。(中略)「諸細目からなる包括的存在がどのような原理で組織されるかは諸細目自体を支配する法則からは説明されない」というテーゼになる。創発とは包括的存在のレベルにおいてはじめて発現する制御原理である。

P.46:ポラニーは、創発概念を主として生物進化との関係で論じているのであるが、(中略)このように、現実界は一般に階層構造をなしていて、上位レベルに行くごとに下位レベルの法則によっては表現できない組織原理が現われる。これを創発と言う。

<<かくして、上位のレイヤーの法則を語ろうとするときには、下位のレイヤーの法則をブランクにしてままで記述することが可能になる>>

P.52:そこでは自然的に為される境界条件の制御が、しばしば人為的な制御をはるかに凌駕する見事さを示すという事実にまず注目する。

<<これがアーキテクチャーなのか?「周辺制御の技術」の政治的な応用を目指しているのか?>>