HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

1920年代日本のマルクス大ブーム

なぜ体へ洋戦争に日本が突入したか?なぜ、ソ連の脅威に備えて北進を専守することなく、南進に踏み切ったか?ずいぶん長いこと本を読んだり多少は考えたりして、答えを求めてきた。愚鈍な私のことなので、自分が持っていた印象をぬぐえず、本を読む度、資料を調べる度に右に左に揺れてきた。

現代からさかのぼっていけば、米国から憲法と安全保障を提供されて現代の日本がある。憲法を変えられたのは、米国との戦争に負けたからだと。米国との戦争になぜまけたかは、そもそも北進しないで南進したから。なぜ南進したかの犯人は長いこと、統制派の東条英機三国同盟を結んだ松岡洋右あたりだと考えてきた。そもそも大本営発表の嘘の戦果のほとんどが海軍だし、実は帝国海軍はかなり無茶をしていたと知って、衝撃を受けてはいる。なぜ南進したかは、ソ連のスパイ、ゾルゲ、共産主義者の尾崎秀実の暗躍があったとも知った。なぜ彼らが暗躍できたかというと、戦前から60年代、70年代まで続く共産主義への傾倒があったからと理解している。つまりは、太平洋戦争とは共産主義者、戦前の官僚たちの「成功した革命」であったと。

で、で、最近はてなブログ村民であることが発覚した中川八洋先生*1は、「1920年代日本のマルクス大ブーム」が背景にあったと指摘する。

  1. マルクスエンゲルス 「資本論」 緑葉社 1919年
  2. マルクスエンゲルス 「資本論」 経済出版部 1919年
  3. マルクスエンゲルス 「資本論」 第1〜9冊 大鐙閣 1920〜1924年
  4. マルクスエンゲルス 「資本論」 上/下 新潮社 1925〜1926年
  5. マルクスエンゲルス 「資本論」 岩波書店 1927〜1930年
  6. マルクスエンゲルス 「資本論」 I/II/III 改造社 1927〜1928年

とにかく出せば売れるという時代だったらしい。検証する意味でAmazonでも検索してみた。たしかにものすごい量の翻訳本の出版がある。

ここに1929年以降の大恐慌が加わり、ますます日本の貧富の差が広がる。若手の官僚、軍人は、ここに憤り、共産主義の達成こそが、農村を救うと考えた。そこに北一輝のテンションの高い国家社会主義の思想が日本を救うと信じられた。

全日本国民は心を冷やかにして天の賞罰かくのごとく異なる所以の根本より考察して、いかに大日本帝国を改造すべきかの大本を確立し、挙国一人の非議なき国論を定め、全日本国民の大同団結をもってついに天皇大権の発動を奏請し、天皇を奉じて速かに国家改造の根基を完うせざるべからず。

日本改造法案大綱(全文 ひらがな版)

現在の安保法案を「戦争法案」とアジテートする民主党や、共産党のやからは、戦前のマルクスブームの尻尾だなと。

*1:id:nakagawayatsuhiro でよろしかったでしょうか?