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HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

困っている人に手をさしのべるのが企業の使命

先日、とあるバーでスコッチに酔いながら、ある海外の航空会社の方と顧客満足について数時間語り合った。彼いわく、「困っているお客さまにこそ手をさしのべるべきなんだ。ルールだから、マニュアルだからじゃない。実際調べてみると、困っている時に助けてくれた企業に対するブランドローヤリティーは必ずあがっている」と。

ブランドローヤリティーとは、「数ある企業の中で、当社を選んでいただいてありがとうございます!」ということだ。競合するサービスや、商品はこの高度資本主義自由市場では星の数ほどある。その中で、当社を選んでいただけるお客さまがいるというだけで、私は胸が熱くなる。

ルールと規律のあるサービス体制は確かに重要だ。しかし、それがすべてでないこともある。もう一度彼の言葉を引用させてもらおう。「たとえば、ノンリファンド(返金不可、たぶん変更も不可)のチケットなのにゲートが閉まる時間に間に合わなかったお客さまがいたとしよう。窓口に来て『親が病気でどうしても今日中に飛行機にのらなきゃいけないんです』とグランドホステスにうったえたとする。特に日本人の担当者はまじめだからマニュアルにあるとおりえんえんとできない理由を説明して拒絶するだろう。しかし、調査してみるとこういう危機的な状況で『助けられた』と想った顧客のブランドローヤリティーはほとんど最高値まであがる。ルールとマニュアルがすべてじゃないんだ。これをどうスタッフに徹底させるかの仕組みを作っているんだ」と。さすが!

この話しで思い当たるのは、東日本大震災の時の対応の話しだ。たとえば、JR東日本

震災当日の同社は、夕方から全線で運行を停止し、終日見合わせると同時に、主要駅のシャッターを下ろして、駅を閉鎖した。他の私鉄がその日のうちに復旧、その後も、終夜運転で運行を続けたのとは対象的な対応だった。

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これは全くマニュアル通りの対応に終始したと。鉄壁のJRだから、ブランドローヤリティーはあまり気にしなくても支障はないのかもしれないが。

 アルバイト歴5年のキャストHさんは、当日のことを思い出す。「(店舗で販売用に置いていたぬいぐるみの)ダッフィーを持ち出して、お客様に“これで頭を守ってください”と言ってお渡ししました」。彼女は会社から、お客様の安全確保のためには、園内の使えるものは何でも使ってよいと聞いていた。そこで、ぬいぐるみを防災ずきん代わりにしようと考えたという。

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東京ディズニーリゾートでは、震災の三年ほど前に安全対策マニュアルを見直したのだそうだ。それまではJRと同様震災発生時には園内からできるだけすみやかにお客さまに帰宅していただくことになっていたと。それを安全確保ができるまでは、園内に残っていただく、そしてこのアルバイトのHさんがいうように、お客さまのためになることだったらなんでもしていいと。

私自身を含めて、ディズニーリゾートは震災後もブランドローヤリティーが全く揺るがなかった。いや、航空会社の彼がいうように鉄壁さが鋼鉄の鉄壁さになった。

企業にかかわるものとして、よくよく腹に収めたい。