HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

セルフモチベーションアップの不可能性

高校生と大学生でなにが違うかと言えば、自由のはばの大きさであろう。日本の高校においてほとんどの時間は学校側で決められる。教師から保護者までみな生徒には、時間の使い方、勉強の仕方、部の活動まで規範のイメージを持っていて、生徒側でモチベーションをあげる努力、選択する勇気はあまりいらない。大学生をしていたのは数十年前だし、大学生になった子供達の学生生活にはあまり干渉してこなかったので、現代の大学生がどうかわからないが私の時代の大学生は自分でどう生活を立てるのか、なにを勉強するのか、部活動をどう運営するのかまで、自由と責任の幅が広かった。与えられている自由と責任ではあっても、人の生死まで含めて経験を積むことができた。

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部活動以外でも人は死んだ。前日までふざけあっていた同じ学科の女子学生が車の事故でなくなった時は衝撃を受けた。そんなに親しかったわけではないが、いまだに彼女の笑顔、立ち姿は目に浮かぶ。彼女が生きていたらどんな人生を歩んだろうかと時々想像してしまう。

まあ、そんなこんながあってそれなりに大人になったつもりで入った最初の会社ではめちゃくちゃ働けた。すべてが楽しかったので、自分のモチベーションなど気にする必要すらなかった。

バブル世代、新人類と言われた私達の年代だが、仕事には前のめりだった。どれだけ難易度の高い仕事をしているか、どれだけ働いているかを競い合う風があった。

働くということ - HPO機密日誌

転職してはいった二社目では自分のモチベーションが問われた。何度も挫折に挫折を繰り返し、だめかなと思ったことも何度もあった。結局いまもこの二社目の会社に勤めているのだが、自分で自分のモチベーションの源を見いだせるまでは大変だった。

「『己こそ己のよるべ』だ。知識は現代人の防衛機制の鎧にしかならない。ものごとを分裂させることしかできない。感性こそが、ものごとの等質、ものごとの本質のにたところを引き出す。唯我独尊こそが、現代人の防衛機制にひびをいれることができる。母親の愛情こそが、本来の自分を引き出す鍵だ」

「己こそ己のよるべ」 - HPO機密日誌

自分にできるかなと思うような責任、自由にやってこいと送り出されてもどう成果につなげればいいかわからない戸惑い、成果をあげなければ大変なことになってしまうという危機感、こうしたものに人の心は押しつぶされてしまいがちだ。学生時代から、最近に至る自分のモチベーションの源を改めて振り返ってみて、日々いかに自分の心に栄養を与えるかがとても大事だなと気づく。そして、その心の栄養とは自分だけで作り出せるものではない。自分の中から出てくるのは、言い訳や、愚痴や、絶望しか出てこない。ほんのちょっとした一言でも、ほんのちょっとした好意のしぐさでも、他人から心の栄養は与えられる。もちろん、その心の栄養をいただけるためには、自分自身で生活習慣や、人生の生き方の決断という宿題を果たしておかなければならない。

ちょっとした若い人との話しはもちろん、ウェブ界隈に至るまで、現代人はどうしても自分自身のセルフモチベーションばかりを強調しがちだ。リアルな世界のあなたのちょっと隣にいる人に自分から心の栄養をあげられてるか、ちょっと点検するだけで幸福度は高まるし、モチベーションアップになると思うのだが。如何。