「ライフシフト」は矛盾に満ちた本だという印象が拭えない。ただ、片方で「何歳になっても適切な『変身タイム』を取れば人生のステージを変えられる。教育、労働、引退の3つしかない人生ではもはやない」と高らかに歌いながら、「長い引退ステージを支えるには、判断力が下がる五十歳より早く、金融リテラシーを身につけなければならない」とも記述されている。なんだかんだ言っても一生働き続けろよと言いたいのか、適切に教育受けろよと言っているのかわからない。いや、よくできた本なのだ。ただ、寿命百年時代にどう対応していいのか、人類そのものがまだわかっていないだけ。
- 作者: リンダグラットン,アンドリュースコット,池村千秋
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2016/10/21
- メディア: 単行本
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まあ、とりあえずガリバー旅行記を読んどけとしか言えない。
そんな矛盾を感じながらもとにかく読了目指して読み続けている今日、たまたま見たTEDに百年人生の答えがあった。
ハーヴァード大学が戦前から行ってる八百人近くの人々の七十五年に渡る人生の継続的研究の話だ。もう研究対象者の多くは亡くなっていたり、九十代に達しているという。詳しくはぜひこのTEDを見て欲しい。継続的研究が明らかにしたのは、「よき人間関係こそがよき人生を生む」ということだと。逆に、孤独な人生は幸福感も、健康をも蝕むと。
亡くなった父が晩年、「人間関係こそが最高の財産だ。よき人生とは、よき人間関係に尽きる」と話していた。改めて父は人生の達人であったなと感じる。事実、亡くなってすでに三年が経過しているにもかかわらず、父の知人達は未だに父が生きてるがごとくに私に話してくれる。有難いことだ。「ライフシフト」を読まずとも、米国に留学しなくとも、七十五年も研究に費やさなくても、人生においてやるべきことの見本は目の前にあったのだ。感謝だなと。