HPO機密日誌

自己をならふといふは、自己をわするるなり。

人財育成と恩寵的試練

人財育成はいつの世でも、誰に取っても必須な責任。リーダーである限り、自分の地位を喜んで譲ることのできる人財を自分のスタッフの中で育成することは、義務であるとも言える。自分自身がリーダーとして悩みに悩み、本棚がいくつもいっぱいになるほど本も読んだ。時間がある限りリーダーシップを磨くセミナー、研修にも参加してきた。それでも、最後は自分自身が修羅場をくぐって、くぐって、またくぐってようやく足りないながらもリーダーとしての自覚と力を身につけてきた。部下のリーダーシップを育成するには、恩寵的試練とも言うべき試練を与えるしか方法を知らない。悩んでいる中で、盛和塾の昨年の世界大会の塾長の資料が届いた。

それを「ワンマン」と称して、「社長がなんでもかんでもやるから、人が育たない」と批判する人もいますが、そのような批判に耳を傾けて逡巡する必要はありません。バリバリ働く社長の後ろ姿を見て、見よう見まねでその社長と同じくらいに仕事ができるような人間が、社内から次々に育っていくようにしなければならないと思っています。


(中略)


特に、ひ弱で逃げ腰なリーダーに対して、私はよく次のように言ったものです。

「お前は敵が撃ってくる弾が怖いために、こっちに逃げてこようとしている。逃げてきてみろ。俺は機関銃を持ってきて、後ろからお前を撃ってやる。どうせ後ろに逃げてきても死ぬんだから、死ぬくらいの気迫で前へ進め」

そのように厳しい言葉を投げかけたわけですが、それくらい自らを追い込んで仕事をしなければ困難な局面を打開できませんし、自分の殻を破り成長することはできません。もう後がないという「絶壁」に立たされたときにはじめて、人は真価を発揮するものです。

私も退くことを考えるより、より前線で戦い続ける覚悟を持ってばりばり働いてこそ、次のリーダーの育成ができるのだと覚悟を新たにした。心から、稲盛塾長は現代の聖人であられると尊敬を新たにした。